研究課題/領域番号 |
17K01914
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
遠藤 純子 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (00634297)
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研究分担者 |
小野 友紀 武蔵野短期大学, その他部局等, 准教授 (70574903)
池谷 真梨子 和洋女子大学, 生活科学系, 助教 (50633129)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 食事援助 / 保育所 / 離乳食 / 多職種協働 / 現職研修 / 養成教育 |
研究実績の概要 |
【質問紙調査】離乳期における食事援助・学びの機会についての現状把握を目的とし、全国1321園の保育所に勤務する二職種(保育士/栄養士または調理従事者)を対象に質問紙調査を11月に実施した。返信531通中、471通を分析対象とした(有効回収率35%)。〈保育士対象調査〉①食事介助の悩み:7割以上が悩んでいると回答した項目は「噛まない」「偏食」「食物アレルギーへの対応」であった。②栄養士等との連携:栄養士等への食事状況の伝達はほぼ全員が必要と回答したが、実際の頻度は週1回未満が3割弱だった。③養成教育・現職研修:十分に学んだと回答した項目は、離乳期の「食機能の発達」「調理形態」が6割ほど、「食事介助」「環境設定」「食具」は4割ほどだった。3割は離乳食・幼児食いずれの調理実習経験もなかった。現職での離乳食研修に参加経験のない者は4割だった。<栄養士等対象調査>①食事提供の悩み:「食材の大きさ」「食材のかたさ」は7割以上が悩んでいた。「ミルクの量」「食事環境」「介助方法」で悩む者は3割程であった。②保育士との連携:「離乳食開始時期」「段階をあげる時期」は9割以上が保育士と話し合うと回答したが、「食事で座る場所」「椅子やテーブルの高さ」は2割に満たなかった。ほぼ全員が食事場面の観察が必要と回答したが、頻度は週1回未満が半数ほどだった。③養成教育・現職研修:十分に学んだと回答した項目は、離乳期の「調理形態」「食機能の発達」が半数ほど、「食事環境」「食具」「食事介助」は2割ほどだった。3割は離乳食・幼児食いずれの調理実習経験もなかった。現職での離乳食研修に参加経験のない者は3割に満たなかった。【保育所視察】保育所3園で食事場面の環境構成、職員配置や援助の実際を観察し、遊びや生活とのつながりも含めた食事援助のあり方についての示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【質問紙調査】項目選定に時間を要し、当初の予定よりも送付時期が遅れたが、年度内に回収と素集計を終えることができた。回答者から自由記述に多くの記載をいただくことができ、集計とカテゴリー化を行った。クロス集計分析は30年度にすすめていく。【観察データの収集】保育所・一般家庭での食事場面の観察データの収集を行うことができたが、分析項目の検討に時間を要し、予定よりも遅れている。【保育所視察】保育理念や食に関する取り組みに特色のある保育所の協力を得ることができ、食事環境や食具等を含める具体的な物的環境や、人員配置や多職種との連携を含めた人的環境に実際に触れることができた。視察結果をもとに、研修ツールで用いる画像や映像案の選定をすすめていく。
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今後の研究の推進方策 |
30年度は研究分担者の1名が育児休暇を取得のため、計画に遅れが生じることが予想されるが、可能な範囲で計画をすすめていく。 【質問紙調査の分析】研究計画通りに29年度実施の調査分析をすすめ、栄養士対象の調査を9月の栄養改善学会で、保育士対象の調査を12月の乳幼児教育学会で発表する予定である。【ビデオ観察データの撮影と分析】29年度までに蓄積した観察データをもとに、離乳期における食事援助について保育者-乳幼児の同調性やタイミングを分析視点とし、分析を行う。分析結果や視察結果をもとに研修ツールの視聴覚教材に使用する場面の選定と構成を行い、一般家庭ないしは保育所での食事場面の映像の撮影を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙実施が遅れ、分析の方向性が定まらなかったため、予定していたデータ解析ソフト購入までに至らなかった。しかし既に入手しているソフトで分析を行う見通しであり、未使用分の一部は集計結果分析の際に研究協力者への謝礼として使用する予定である。また、学会参加の旅費をおさえて生じた未使用額があるが、最終年度の視聴覚教材作成に費用がかかると予想されるため、そこでの不足分に充てる。
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