本研究は、乳幼児の主体性を尊重した食事援助のあり方を検討し、乳幼児の主体性を尊重した食事援助を学ぶための研修ツールの開発を行うことを目的としたものである。2021年度は、最終年度として、平成29年度に全国1.321園の保育所に勤務する0歳児担当保育士・栄養士等を対象とした質問紙調査の分析をもとに、2本の論文執筆を行った。 (1)食事場面における構造的特性の現状を示した上で、食事時間調整と食事援助の担当方法に着目し、乳児保育における食事援助のプロセスの質を支える諸要素を考察し、論文「乳児保育における食事援助のプロセスの質を支える諸要素の検討」として論文にまとめた。食事時間調整と食事援助の担当方法・食事時に座る場所・環境設定の評価との関連、食事援助の担当方法と栄養士等の悩みとの関連が示された。こうした保育構造の諸要素は、単独で成り立つものではなく、複合的に作用することで子どもの主体性を尊重したかかわりを支える構造として作用するものであると考える。 (2)栄養士等と保育士の連携の程度により保育所における離乳期の子どもの食支援についてどのような差異がみられるのかについて検討し「保育所における離乳期の食支援―栄養士等と保育士の連携に着目して―」として論文にまとめた。栄養士等による0歳児の食事場面の観察頻度が高い保育所では離乳期の子どもの食具や食事環境について栄養士等と保育士が連携して支援していた。また栄養士等の食事場面の観察頻度に関わる要因として、離乳食の研修参加経験が示唆された。
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