研究課題
児童虐待や愛着問題、ネグレクト、トラウマなどを経験しているマルトリートメント児と表出行動の類似性が高い神経発達症の一つであるADHD(注意欠如多動症)児の判別を、fNIRS(機能的近赤外分光法)や唾液中ホルモン濃度測定などを用いて行い、マルトリートメント児のみに生じる事象、すなわちマルトリートメントによる影響を捉え、それを元に虐待判定のための客観的指標モデルの構築を行った。まず、研究初年度は、研究の軸となる健康的な一般の児童のリクルートを行い、その後に対象となるマルトリートメント+ADHDの可能性が疑われる児童のリクルートを行った。ADHD先行研究手法を応用し、抑制課題遂行時のfNIRS脳機能計測を行い臨床群と定型発達児の比較検討を実施した結果、右前頭前野領域の血流活動が認められ臨床群との差が認められなかった。次に、ADHDとマルトリートメント、そして定型発達の3群で比較を行ったところ、マルトリートメントと定型発達に対してADHDは右前頭前野の血流活動が認められないと言う結果が得られた。更に活発な血流活動が認められた2群(マルトリートメント・定型発達)を比較検討したところ、右下前頭回と右眼窩前頭皮質の境界領域に差が認められた。先の結果を踏まえ更に被験者を増やしADHDとマルトリートメント2群での比較検討を行った。結果、定型発達とADHDで既に有意差が認められている右前頭前野に加え、右下前頭回、右上側頭回に有意な差が認められた。これらの研究を通してマルトリートメント児は、抑制課題遂行時に右前頭前野だけでなく、より情動認知や動機づけに基づく意思決定領域の活発な血流活動が認められた。あらゆる可能性に備えて常に脳がアクティブになっているマルトリートメント児の特徴を捉えた結果となっている。
令和4年度特別区職員研修「児童福祉司任用前研修」「一時保護職員研修」講師、中野区児童相談所児童心理司スキルアップ研修、江戸川区児童相談所児童心理司TF-CBTイントロダクトリートレーニング研修講師、専門家を対象としたCAREワークショップ研修担当、東京都下の児童相談所にて里親を対象としたCAREワークショップ担当など
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子どもの心とからだ
巻: 31 ページ: 16-22
巻: 31 ページ: 23-28
https://researchmap.jp/Sakae_GM
https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/kugsms/
https://www.kitasato-u.ac.jp/jp/ccp/index.html
https://syllabus.chuo-u.ac.jp/syllabus/detail/?id=465&k_code=O0
https://dept.dokkyomed.ac.jp/dep-k/ccdpm/