本研究は、2歳の幼児を対象に腸内細菌叢と体格、体力、運動習慣を縦断的に4年間測定し、(1)幼児期における腸内細菌叢の特性、(2)幼児期における腸内細菌叢と体格、体力、運動習慣の関連性を明らかにすることであった。平成30年1月に、幼児42名(男児21名、女児21名)を対象に、便サンプルを採取してlnumin6社製の次世代シークエンサーを用いて16SrRNA解析を行った。解析の結果、ヒト腸内紺菌のほとんどを占めている4つの門の構成について、男児と女児の平均(標準偏差)は、ファーミキューテス門が60.8(10.8)%と56.4(12.1)%、が30.0バクテロイデーテス門(10.7)%と32.7(11.8)%、アクチノバクテリア門が6.4(4.1)%と8.7(6.2)%、プロテオバクテリア門が1.9(1.5)%と1.6(1.2)%であった。これらの結果、幼児期における腸内細菌叢の構成に性差は認められないことが示悛された。 他方、本来は、上記の幼児を対象に縦断的な追跡調査を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大等の影響から、これらを進めることができなかった。そこで、最終年度となった令和2年1~3月に、週3~4回の頻度でサッカーを行う小学1~6年生61名を対象とし、腸内細菌叢と運動習慣、および体力との関連性を検討した。便サンプルを採取して上記と同様の解析を行い、門の構成(バクテロイデーテス門、ファーミキューテス門、アクチノバクテリア門、プロテオバクテリア門、フソバクテリア門、プロテオバクテリア門)、多様性指数、短鎖脂肪酸指標、ビフィズス菌、腸管免疫指標、乳酸酸性菌、酪酸酸性菌などを検証した。形態測定として身長、体重、インピーダンス法による体組成を測定した。体力測定として、20m走、Tテスト、三段跳びを測定した。今後は、これらの関連性を検証する予定である。
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