研究課題/領域番号 |
17K01922
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
石山 ゐづ美 常葉大学, 保育学部, 教授 (70541704)
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研究分担者 |
赤間 公子 信州豊南短期大学, 幼児教育学科, 教授(移行) (40759883)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インフォームド・アセント / レジリエンス / 尺度 / 幼児 / 研究倫理 |
研究実績の概要 |
本年度は4歳児と5歳児に対象を絞り,アセント能力測定尺度とレジリエンス尺度のバージョンアップを遂行した. アセント能力測定尺度は今回もMacCAT-CRを参考に作成され,4歳児に無理なく答えられることを考慮して尺度を改変した.まず構成として「理解」「認識」「論理的思考」「選択の表明」の4セクションから「理解と認識」「選択の表明」「論理的思考と一貫性」の3セクションにし,次に,評価項目は13サブパートから11サブパートにした.加えて,1つ1つのサブパートについて,ヒントとなる追加の質問文を用意した.それぞれのサブパートは配点0-2点,理解と認識セクションは9項目(0-18),選択の表明セクションは1項目(0-2),論理的思考と一貫性セクションは1項目(0-2)で構成され,総計0-22点と設定した. レジリエンス尺度も24項目を20項目に削減し,回答を5件法から3件法に改変して,4歳児に回答可能な尺度を目指した. 以上の修正を行った後に,我々は15人の4歳児と12人の5歳児,計27人を対象とし,2019年3月に面接調査を実施した.アセント能力測定尺度の所要時間は10.5±2.4分であり,t検定の結果4歳児と5歳児に有意差は見られなかった.一方,尺度得点は4歳児平均点が11.9±5.2点,5歳児平均点が17.8±4.1点であり,t検定の結果,4歳児と5歳児に有意差が認められた(p<0.01).この差は,配点が大きい理解と認識セクションの得点差によるところが大きかった(t-test: p<0.01).選択の表明については,5歳児は100.0%が明確に表明できていたのに対し,4歳児は86.7%であった.論理的思考と一貫性については,5歳児は91.2%が明確に認められたのに対し,4歳児では73.3%であった. 我々はさらに採点の精度を上げることに努めて,妥当性の高い尺度の開発を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画時に,子ども対象面接調査について協力の内諾を得ていた保育所があった.しかし,当該保育所を管轄するA自治体の,子ども福祉課および教育委員会に調査実施のための説明を行ったところ,予想に反して調査への許可が得られない事態となった.そこで改めて調査協力機関の開拓を始め,調査方法を調整して,B市子育て支援拠点とC市子育て支援センターに研究協力を依頼することとなった. 幸いに両機関からの快諾が得られ,調査を実施する運びとなったが,ようやく2019年3月にB市子育て支援拠点での調査が遂行された状況であり,C市子育て支援センターでの調査は2019年8月に持ち越されることとなった. 以上の理由により,進捗状況は当初の計画からやや遅れる結果となった.
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今後の研究の推進方策 |
1.幼児用アセント能力測定尺度を開発する:これまでに2回のパイロット調査を経て,尺度の作成,調査,分析と修正を行ってきた.2019年8月に実施する3回目の調査の結果を分析し,本研究の成果としての幼児用アセント能力測定尺度を確定する. 2.幼児への説明用リーフレットおよび幼児用意思確認書を開発する:これまで2回のパイロット調査のために,幼児に理解可能な説明文にイラストを加えたリーフレット,および,幼児がサインまたはマークを記入する意思確認書の作成と修正を行ってきた.3回目の調査後に,これらの内容とデザインを確定する. 3.構造化面接調査用幼児レジリエンス尺度を開発する:これも1と同様に,2回のパイロット調査を経て,尺度の作成,調査,分析と修正を行ってきた.8月に実施する3回目の調査の結果を分析し,本研究の成果としての構造化面接調査用幼児レジリエンス尺度を確定する. 4.レジリエンス尺度用図版(絵カード)を開発する:レジリエンス尺度の質問項目を幼児に理解しやすく視覚で補うため,絵画の専門家に依頼して図版(絵カード)を制作中であり,3回目の調査を経て確定する. 5.以上の研究成果を学会で発表して専門家からの意見を聴取し,さらに修正を加えて執筆する研究論文を,医学・社会学系の学会誌に投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画時に,子ども対象面接調査について協力の内諾を得ていた保育所を管轄するA自治体から,調査への許可が得られない事態となった.そこで改めて調査協力機関の開拓を始め,調査方法を調整して,B市子育て支援拠点とC市子育て支援センターに研究協力を得られる運びとなった.しかしようやく2019年3月にB市子育て支援拠点での調査が遂行された状況であり,C市子育て支援センターでの調査は2019年8月に持ち越されることとなったため,調査に要する費用である,主に人件費と謝金の経費がおおよそ半分,次年度に繰り越される結果となった. さらに現在,図版制作のための絵画を専門家に依頼しており,次年度はデザイン料としての謝金を支払う予定である. また,次年度9月に開催される英国社会学会医療社会学部門での研究発表を希望して既に応募しており,採択されれば渡航費用が必要となるため,次年度は海外旅費を使用することを計画している.
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