2017~2018年度は「児童・生徒の認知特性のアセスメント」を実施した。具体的にはCOGET(Cognitive Enhancement Training:認知機能強化トレーニング)のうち選出した20程度の認知課題と集団で実施可能な神経心理学的検査を併用し、児童の認知特性のアセスメントを小学校を主に各学年、年間20回程度実施した。COGETは、「覚える」「写す」「見つける」「数える」「想像する」の5つの構成からなり、それぞれワークシート自体をアセスメントの評価シートとして使用した。 2019年度は2017~2018年度に得られた児童の認知特性の結果から、学年毎に集団トレーニング、個別トレーニングが必要な認知課題を選定し、各学年が年間通して行うために最適なワークシートの組み合わせを含めた試行プログラムを作成し協力校にて予備的試行を行った。プログラムは学校での実施状況や担当職員の負担度、学校の時間的制約などを考慮し、トレーニングの頻度、1回の施行時間、内容等を検討した。また特に個別支援が必要な児童を簡易にスクリーニングするためのシート5枚を選定した。 2020年度はこれまでに作成したプログラムを複数校に対して施行した。施行に当たってはプログラムの事前・事後に効果検証としてスクリーニングシートを使用した。その結果、事前スクリーニングにて配慮が必要と思われた児童において、トレーニング後の正答率がクラス正答率の平均値に近づくなどが見られた。特に境界知能など配慮が必要な児童に効果的と思われた。以上を通して学校における認知トレーニングの有用性が示唆される結果となった。
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