研究課題/領域番号 |
17K01928
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
武井 祐子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (10319999)
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研究分担者 |
奥富 庸一 立正大学, 社会福祉学部, 准教授 (00375445)
門田 昌子 倉敷市立短期大学, 保育学科, 講師 (20549620)
竹内 いつ子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教 (30760665)
岩藤 百香 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 講師 (80612986)
岡野 維新 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 助教 (10824021)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 幼児 / 気質 / 親子ふれあい遊び / 育児不安 / 育児自己効力感 |
研究実績の概要 |
本研究は,子どもの気質特徴に合った親子ふれあいプログラムを開発し,その効果を検証し,その実践と啓発のためのパンフレットを作成することによって育児支援のための具体的方策を提案し,養育者の子育てに対する自己効力感を高め,育児不安を低減することを目的としている。2018年度は,以下の手続きで調査を行った。研究協力に同意した1歳から4歳の子どもの養育者を対象に,幼児気質質問紙,育児不安質問紙,育児自己効力感質問紙を実施した。子どもと養育者を対象とした子どもの気質特徴に合った親子ふれあい遊びの会を実施し,そのなかで気質質問紙の結果を養育者にフィードバックした。気質質問紙の結果を養育者に個別にフィードバックした後に,2017年度の結果をもとに内容,構成を検討した子どもの気質特徴に合った親子ふれあい遊びを実施した。プログラムの前後に養育者の唾液アミラーゼを測定し,終了直後に自由記述質問紙,1か月後に育児不安質問紙,育児自己効力感質問紙,自由記述質問紙への回答を求めた。これらの調査により,子どもの気質特徴をフィードバック後の親子ふれあい遊び体験が養育者の育児不安や育児自己効力感にどのような影響を与えるのか,養育者が日常生活において子どもをどのように理解し,気質特徴に合った親子ふれあい遊びをどのように体験し,どのように考えるようになるのかを明らかにし,従来の親子ふれあい遊びと比較することで子どもの気質特徴に合った親子ふれあい遊びプログラムの効果を検討した。また,パンフレットを作成するために今年度はリーフレットを作成して配布し,参加者の反応を確認した。今年度の結果より,気質特徴に合った親子ふれあい遊びプログラムを作成,その効果を検証し,パンフレット作成およびその効果を検証するためのデータを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は,研究参加に同意した養育者とその子ども38組を対象に調査を行った。養育者が幼児気質質問紙,育児不安質問紙,育児自己効力感質問紙に回答後,個別に子どもの気質特徴の結果が養育者にフィードバックされ,子どもの気質特徴に合った親子ふれあい遊びを実施した。なお,親子ふれあい遊びは5回に分けて実施した。子どもの気質特徴に合った親子ふれあい遊びの実施前後には養育者の唾液アミラーゼを測定することでストレスを評価し,親子ふれあい遊びを実施後に自由記述アンケートを実施した。さらに,親子ふれあい遊び実施後,1か月以上経過した後に育児不安質問紙,育児自己効力感質問紙,自由記述質問紙への回答,返送を求めた。結果,子どもの気質特徴のフィードバックを受け,親子ふれあい遊びあるいは気質特徴に合った親子ふれあい遊びを体験することで育児に対する漠然とした不安は下がり,育児自己効力感は高まるが,親子ふれあい遊びを体験すると育児によって生じる時間の制限感や拘束感が低下し,気質特徴に合った親子ふれあい遊びを体験すると子どもや養育に対する忌避感情が低下することが明らかとなった。親子ふれあい遊びの体験内容の違いによらず,育児不安や育児自己効力感に同一の効果がある一方で,育児不安の内容によって異なる効果が認められることが明らかとなった。また,気質特徴に合った親子ふれあい遊びは,従来の親子ふれあい遊びと同様に,ふれあうことの大切さや重要性を実感するだけでなく,日常生活に取り入れられていることや,自分自身や子どもの行動の変化などを感じるようになると考えられた。なお,2018年度で得られた内容については2019年度に開催される学会で報告予定であり,また,速報的に論文としてまとめ,2019年度中に投稿予定であることから順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度までに得られた知見をもとにパンフレットを作成し,子どもの気質特徴に合った親子ふれあい遊びプログラムの効果を検証する。2018年度と同数程度は対象者をリクルートするために,2018年度までに参加者募集に協力依頼した機関に協力継続を求めるとともに,プログラムの実施場所については参加者がアクセスしやすい場所で行えるよう準備を進めている。また,分担研究者である奥富の活動拠点である関東地方での実施も計画し,調査対象者数の確保を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は実施回数が予定より少ない状態で調査が行われたため,分担研究者の交通費や必要な消耗品などの購入が不要であり,2019年度に残額が生じた。2019年度に2018年度に実施できなかった回数を今年度実施予定の回数に加えて実施する予定である。県外での実施も計画しているため,旅費の使用が増える予定である。気質質問紙の増刷,作成した気質特徴に合った親子ふれあい遊びの紹介パンフレットの印刷を予定している。また,学会発表および論文投稿を予定している。
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