研究課題/領域番号 |
17K01931
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
栄留 里美 大分大学, 福祉健康科学部, 助教 (60708949)
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研究分担者 |
農野 寛治 大阪大谷大学, 人間社会学部, 教授 (30300338)
久佐賀 眞理 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (10312167)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 訪問アドボカシーの方法の開発 / 市民・施設との連携 / 協力団体からの評価・調査 / 子どもの参画 / スーパービジョンの開発 / 市民への公表 / 市民の参画 / アドボケイト養成講座の実施 |
研究実績の概要 |
4月~8月は訪問アドボカシーの準備期間とし、研究者と研究協力者(施設長・施設職員・アドボケイト候補者・アドボケイト派遣団体代表者)から構成される会合(毎月1回)を開催し、実践方法を具体的に検討した。また、研究協力施設において、子どもの権利の理解を促すことを目的とするワークショップ(7月・12月)を行った。併せて、7月から研究者及びアドボケイト候補者が、児童養護施設入所児童・職員とのラポール形成や実践現場の理解等を目的とする週1回定期訪問を行った。9月から3月までに、週1回・2~3時間、2名のアドボケイト(研究者・研究協力者)が訪問し、入所児童のアドボカシー実践に取り組んだ。具体的には、施設職員から任命されたアドボカシー推進員との連絡調整によってアドボケイトが施設を訪問し、(1)遊びやコミュニケーションによるラポール形成、(2)入所児童の意見/思いの傾聴、(3)意見表明支援、(4)代弁/調整を行った。アドボケイトの資質向上と開拓のために、アドボケイト養成講座も実施した。 併行して、研究者とアドボケイトによる事例検討会(毎月1回)によってスーパービジョンを実施した。これらの訪問アドボカシーにかかわる実践内容を評価し、修正を加えるための研究会(毎月1回)を開催した。 研究者・施設長・アドボカシー推進員・派遣団体代表者・アドボケイトから構成されるシステム検討会(1月)において、虐待防止を含めた権利擁護の促進状況の評価、ケアの改善課題の検討と対処方法の提案、研究活動の評価を調査した。子どもから訪問アドボカシーについて意見をもらい改善に役立てる、子ども委員会を6回開催した。 3月には公開型の報告会を開催し、研究者・実践者・市民等の参画を得て実践の検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は科研申請時に掲げた「権利ワークショップ開催、アドボケイトの事前訪問」を行い、「施設訪問アドボカシーの試行実践により実践方法の評価と改良を重ねる。」ことができた。施設職員、研究協力者のアドボケイトとの月1回の打ち合わせだけではなく週単位で綿密な連携をとることができた。そのことによって、円滑な施行実践ができた。さらに、子ども委員会という子どもから研究活動への評価をもらい、改善を行うなど、申請時にはなかった活動ができた。このような実践の中で、訪問アドボカシーの実践方法の開発を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
2018年4月~2019年8月にかけて、引き続き児童養護施設に2名のアドボケイトが訪問し(毎週1回)入所児童のアドボカシーをする。アドボケイトへのスーパービジョンのための事例検討会、実践評価・改良に向けて検討するための研究会を開催する(毎月1回)。また施設職員と共に行うシステム検討会及び入所児童・職員へのワークショップを定期的に実施する。また公開型の報告会を開催し研究者・実践者・市民等の参画を得て実践の検証を行う。このようなアクションリサーチの成果を論文等にまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
支出を抑えるため、出張方法・出張回数を見直し、他の通信手段を試みたり、現地の研究協力者に依頼可能なことは依頼した。そのことによって、出張旅費を想定より削減することができた。だが、今後は施行実践の改良のために研究者が赴く必要性が増すと考えられる。今後の出張旅費、そして調査のための資金(テープ起こし等)に使用する予定である。
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