今年度は、昨年度冬季(1月上旬~2月末)に実施した温暖地の九州北部地方に立地する19園の実測調査から得られたデータの分析を中心に行った。分析対象は、温湿度データ(一部、CO2濃度データ)である。さらに、以前に行った寒冷地の東北地方のデータとの比較を行い、地域別の保育室内環境の特徴の把握を行った。九州北部地方の保育室温は、東北地方より低い傾向を有した。一方、絶対湿度では、換気を優先する傾向の九州地方よりも、加湿を優先する傾向を有する東北地方の方で高い傾向がみられた。 実測データから換気回数を推定したところ、東北地方の保育室よりも、九州地方の方が多いと推測され、アンケート調査と照らし合わせると、妥当な結果であった。また、温度や湿度は、外気候の相違の影響が大きいと推察された。ただし、今年度は暖冬であったことや、調査後半はコロナ感染症の流行が始まった時期であったことを留意する必要があると考えられた。 また、これまでにアンケート実施の際に自由記述から寄せられた保育室の環境調整に関する疑問点に対して、実測調査から得られた内容などを含んで説明を加えたハンドブックを作成し、約700園に送付を行い、内容に関するフィードバックを得た。
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