胎児は放射線感受性が高いとされるが、生涯の発がんリスクについて統一した見解は得られていない。発がんは環境因子などに大きく影響されることから、胎児期放射線被ばくのリスクも生後の生育環境により変動する可能性がある。 本研究は胎児期放射線被ばくの生涯にわたる影響を動物実験で明らかにすることを目的とした。放射線と化学発がん物質の複合ばく露によって得られたマウス肺腫瘍の解析から、対照群および放射線単独群と比較して、化学発がん物質単独群と複合ばく露群で有意に発生率が高かった。しかし両群の間に有意差は無く、本実験においては生後の発がん物質ばく露に対する胎児期放射線被ばくの影響は認められなかった。
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