研究課題
本研究申請時に、我々はタンパク質アルギニンのADMA化を担うprmt-1とSDMA化を担うprmt-5を同時に欠損した変異体線虫では、産卵数の減少やストレス耐性の低下と共に、タンパク質中のADMAとSDMAの両方が消失することを論文発表していた。そこで初年度は、prmt-1/prmt-5二重変異体でもMMAが完全には消失しないことを明らかにし、線虫個体内でタンパク質アルギニン残基のモノメチル化に一部寄与しているprmt-1の欠損変異体を宿主に、prmt-1、-3、-4、-5、-6、-7のノックダウンを試みた。その結果、アルギニンメチル化の量には有意な変化は認められなかった。この結果については、そもそも線虫に内在する脱メチル化酵素の作用が、メチル化状態の変化をより検出し難くしているのではないかと考えた。メチルアルギニンの脱メチル化酵素の存在については、その時点でも未だ議論が続いていた。そこで2年目~3年目に、これまで哺乳類その他の生物種で報告されている既知のタンパク質及び核酸の脱メチル化酵素の線虫オルソログ24種をノックダウンし、メチルアルギニンの上昇を指標にアルギニン残基の脱メチル化酵素の探索を行ったところ、jmjCファミリー並びにalkbファミリーに含まれるそれぞれ複数の遺伝子で、約 1.5倍のSDMAの上昇が観測されたものの、これらの遺伝子がアルギニンモノメチル化反応の検出に影響する可能性は低いと考えられた。そこで期間を延長した昨年度に、CRISPR/Cas9システムを用いて、prmt-7及びprmt-9の欠失変異体の作成を試み、それぞれの系統の確立に成功した。これらの変異体について、現在までにそれぞれの変異体におけるアルギニンモノメチル化活性について、preliminaryな結果を得ている。
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Angewandte Chemie (International ed. in English)
巻: 60 ページ: 8792-8797
10.1002/anie.202015193
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