Nilotinibの標的タンパク質を同定するため、マラリア原虫のライゼート(細胞質フラクション、核フラクション)を調整しtarget protein fishingを行った。 細胞質フラクションを用いた検討では、SDS-PAGE上に5本の結合タンパク質が確認された。再現性の高いバンド3本についてLC-MS/MS解析を行い、結合タンパク質として、Endplasmin homolog、RNA helicase(pfeIF4A)、膜タンパク質Aが同定された。核フラクションを用いた検討ではSDS-PAGE上で3本の結合タンパク質が確認された。このうちの一つは細胞質フラクションで確認された膜タンパク質Aと同じであった。 pfeIF4Aはクローニングし、pET systemでタンパク発現検討中である。その他同定された結合タンパク質を含め、バリデーションを進めるためにnilotinib耐性マラリア原虫の作製を行っている。 リーシュマニア原虫を用いたtarget protein fishingの最適化に向けて内臓リーシュマニア原虫のamastigote型(細胞内感染型)からライゼートを得るために大量取得および培養の検討を継続している。ホストマクロファージ細胞に感染力のあるamastigoteが得られているものの、得られるamastigoteの量、in vitro培養での維持、細胞増殖度が一定しないためtarget protein fishingに使用する原虫ライゼートを調整するまでの原虫量確保には達していない。得られたamastigotesをpromastigotes に分化させた後ホストマクロファージに感染させ、細胞内でamastigotesに変化した状態でホスト細胞ごと原虫を回収する方法でtarget protein fishingの最適化に使用可能かを検討する。
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