肺胞や皮膚、血管などの弾性・伸縮性に寄与する弾性線維エラスチンは、ピリジニウムアミノ酸であるデスモシンやアイソデスモシンを中心とする架橋構造をもつが、その周辺の三次元構造は未解明である。我々は、クロスカップリング反応およびChichibabinピリジン合成にもとづく有機合成化学的手法により、エラスチン架橋アミノ酸デスモシン類の最初の全合成を達成した。 本研究では、確立した合成法を基盤として、これまでの研究で推定されているエラスチン架橋部位の環状ペプチド型デスモシン類の合成と、エラスチン架橋構造の同定、およびデスモシン類の抗原・抗体調製を目的とする。 当該年度は、前年度に作製した有機合成化学を駆使してデスモシンおよびアイソデスモシンとKLHやBSAなどのキャリアタンパク質とのコンジュゲート(複合体)の最終確認を遂行した。すなわち、質量分析や紫外可視スペクトル測定によって、確実にコンジュゲートの生成を確認した。
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