研究課題/領域番号 |
17K01954
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
片桐 文彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (60420642)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ペプチド / 受容体 / 遊走 / ケミカルバイオロジー |
研究実績の概要 |
受容体に特異的に結合する分子プローブの開発は、受容体の機能解析に留まらず、疾患の原因解明や創薬に直結する。インテグリンやシンデカンなどサブタイプが多く存在する受容体に特異的に結合する分子プローブの開発には、低分子化合物ライブラリーを用いたスクリーニングが効率的であると考えられる。本申請課題では、申請者らが所有する基底膜タンパク質「ラミニン」のアミノ酸配列を網羅する合成ペプチドライブラリー(ラミニンペプチドライブラリー)のスクリーニングによって見出された機能性ペプチドを構造活性相関に附し、ケミカルバイオロジーの手法なども取り入れて、受容体特異的な分子プローブの開発を目的とする。 申請者らは現在までに、全11種類のラミニンサブユニット全てのアミノ酸配列を網羅する合成ペプチドライブラリーの作成を完了している。また、現在までに、複数のインテグリン結合、2種のジストログリカン結合ペプチド、多数のシンデカン結合ペプチドを見出している。 今年度は、まずラミニンペプチドライブラリーのHDFを用いた細胞遊走スクリーニングを行った。既報にて遊走活性が認められているラミニンβ3鎖配列由来ペプチドについて完了した。申請者らが見出した細胞接着ペプチドの中で、明確な生物活性を示すが、受容体が同定できなかったペプチドC16(KAFDITYVRLKF:マウスラミニンγ1鎖139-150)について、光親和性標識を導入し、cell lysateを用いたpull-down assayによって受容体の同定を試みており、現在、タンパク質同定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定より少し遅れているが、細胞遊走スクリーニングは継続している。C16の受容体同定が思いの外時間がかかったが、完了の目途が立った。また、既知の機能性ペプチドの構造活性相関研究にも並行して着手している。いずれも一定の結果は得られており、来年度さらなる展開を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
細胞遊走スクリーニングを継続して行い、完了させる。また、既知の機能性ペプチドの構造活性相関研究をさらに展開する。また、MKN1細胞を用いた細胞接着スクリーニングを開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
C16の受容体同定には質量分析による解析が必要であり、外部受託する予定であったが、年度内に依頼することができなかったため、使用額が少なかった。来年度すぐに依頼が可能であるため、受託解析費に充てる予定である。
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