研究課題
受容体に特異的に結合する分子プローブの開発は、受容体の機能解析に留まらず、疾患の原因解明や創薬に直結する。インテグリンやシンデカンなどサブタイプが多く存在する受容体に特異的に結合する分子プローブの開発には、低分子化合物ライブラリーを用いたスクリーニングが効率的であると考えられる。本申請課題では、申請者らが所有する基底膜タンパク質「ラミニン」のアミノ酸配列を網羅する合成ペプチドライブラリー(ラミニンペプチドライブラリー)のスクリーニングによって見出された機能性ペプチドを構造活性相関に附し、ケミカルバイオロジーの手法なども取り入れて、受容体特異的な分子プローブの開発を目的とする。申請者らは現在までに、全11種類のラミニンサブユニット全てのアミノ酸配列を網羅する合成ペプチドライブラリーの作成を完了している。また、現在までに、複数のインテグリン結合、2種のジストログリカン結合ペプチド、多数のシンデカン結合ペプチドを見出している。今年度は、まずラミニンペプチドライブラリーのHDFを用いた細胞遊走スクリーニングを終了した。申請者らが見出した細胞接着ペプチドの中で、明確な生物活性を示すが、受容体が同定できなかったペプチドC16(KAFDITYVRLKF:マウスラミニンγ1鎖139-150)について、光親和性標識を導入し、cell lysateを用いたpull-down assayによって受容体候補タンパク質を同定し、質量分析による解析を行った。
3: やや遅れている
平成30年4月に研究代表者が研究室を異動したため、年度初めは研究体制が十分に整わず、少し進捗が遅れている。細胞遊走スクリーニングは完了することができたが、当初予定していたヒト胃癌細胞株MKN1細胞を用いた細胞接着スクリーニングは開始できなかった。また、C16の受容体同定が思いの外時間がかかったが、完了した。また、既知の機能性ペプチドの構造活性相関研究にも並行して着手している。
今年度はまずヒト胃癌細胞株MKN1細胞を用いた細胞接着スクリーニングを開始する。また、見出した機能性ペプチドの構造活性相関研究を展開するとともに、得られた結果をまとめ、学術誌・学会などで公表する。
当初開始予定であった実験が始められなかったため、次年度使用額が生じてしまった。次年度に開始予定のあるため、当該実験に充てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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http://www.ps.toyaku.ac.jp/yakokaiseki/