研究課題
私たちは今までに、広く使われているNF-kappa B 阻害剤DHMEQや抗糖尿病活性のあるconophyllineなどを天然からのスクリーニングまたは分子デザインにより見出してきた。一方、現在まで転移の機構研究はほとんどが、一次腫瘍から腫瘍細胞が離脱・遊走したあと、細胞が接着して二次腫瘍を形成する過程が研究されている。これは転移の後期過程の研究であり、三次元培養(3D)で可能な初期過程の機構解析はほとんど行われていない。本課題においては、がん細胞の遊走を阻害する新規低分子化合物を研究室の化合物ライブラリーおよび微生物培養液から探索し、3D浸潤阻害活性を調べた。2017および2018年度には、二次元培養(2D)で遊走・浸潤を阻害するNF-kappa B阻害剤DHMEQ、安定誘導体SEMBL、新規生理活性物質p-terphenyl glycoside、および既知抗生物質ketomycinなどを見出した。この中からDHMEQとketomycinはがん細胞の3D浸潤を阻害することを見出し、いずれも機構を解析した。最終年度は特に、ketomycinはin vitro阻害のほかsurface plasmon resonanceを用いてI-kappa B kinaseへの直接的な結合を示し、新規I-kappa B kinase阻害剤であることを見出した。そしてマクロファージ様細胞において、LPSに誘導されるI-kappa B分解を既知の阻害剤であるSC514より強く阻害し、NF-kappa B活性化やIL-6分泌も阻害した。一方、クマササ抽出物を含む抗炎症作用のあるクリーム、クマササプルンを企業と共同開発して特許も取得した。クマササ含有成分のエステル誘導体にがん細胞の浸潤を抑える活性を見出した。さらにDHMEQは多くの細胞・動物モデルで抗がん・抗炎症活性があることを示した。
愛知医科大学ホームページには分子標的医薬寄附講座の研究内容、刊行論文が紹介されている。梅澤ラボチャンネルでは医薬を探す方法や軟膏および抗がん剤として開発中のDHMEQの説明をしている。ほかにFacebook Umelab Aichiで、海外での学会発表や共同研究を写真とともに紹介している。
すべて 2020 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 6件、 査読あり 11件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
BBA-Proteins and Proteomics 1868 (2020) 140412
巻: in press ページ: in press
J. Antibiot.
org/10.1038/s41429-020-0302-9
Critical Reviews in Oncogenesis
10.1615/CritRevOncog.2020034129
BMC Pharmacology and Toxicology
10.21203/rs.2.21990/v2
Immunopharmacology and Immunotoxicology
巻: 42 ページ: 32-39
10.1080/08923973.2018.1510962
Occular Immunology & Inflammation
巻: 28 ページ: 240-248
10.1080/09273948.2019.1568502
Thyroid
巻: 29 ページ: 674-682
10.1089/thy.2018.0212
Frontiers in Cellular Neuroscience
巻: 13 ページ: Article 216
10.3389/fncel.2019.00216
Journal of Medical Science
巻: 88 ページ: 102-108
org/10.20883/jms.352
Cell Death and Disease
巻: 10 ページ: 880
org/10.1038/s41419-019-2109-9
Lung Cancer
巻: 135 ページ: 217-227
10.1016/j.lungcan.2019.07.006
www.aichi-med-u.ac.jp
www.umelab.net