本研究で明らかにしたトポロジー依存的な遺伝子制御は、遺伝子配列の変化が伴わないことが特徴である。つまり、生命は核酸構造の化学環境に対する多様な応答性を利用し、遺伝子発現を高次化することで、高度な生命現象を獲得してきたと考えられる。例えば、細胞分化・発生などの塩基配列の変異を伴わずに細胞の状態が変化する過程において、このトポロジー制御が重要な役割を果たしている可能性がある。また、このようなシステムが破綻することによって、癌、神経疾患、生活習慣病などの後天的な疾患が引き起こされると考えられる。本研究のさらなる発展により、医療、診断、創薬などの実社会に貢献する様々な分野への研究展開が期待される。
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