研究課題
基盤研究(C)
自閉症モデルマウスであるCASKヘテロノックアウトマウスを対象として、そのシナプス機能を電気生理学的解析した。CASKヘテロノックアウトマウスの急性脳スライスからパッチクランプ記録法によってシナプス入力を計測した。その結果、興奮性シナプス入力が増加し、抑制性シナプス入力が減少していることが明らかになった。多くの自閉症モデルマウスで観察されるように、シナプスの興奮抑制バランスが撹乱されており、そのシナプス異常の分子メカニズムにはNMDA受容体の発現調節が関わることが明らかになった。
神経科学
自閉症は100人あたり1人が報告されており、男性が女性のおよそ4倍の発生頻度であることから、実験動物を用いた基礎研究でもオス動物を用いた実験がほとんどであった。本研究はメス動物を用いた研究であり、発展の目覚ましい自閉症研究の知見を活用し、その適用範囲を拡大できる研究と言える。また、発達期の神経機能成熟に関わるNMDA受容体の関与を示したことは、CASK遺伝子欠損だけでなく、NMDA受容体の関わる遺伝子異常のシナプス機能異常への波及効果も期待できる。