統語構造の理解障害を特徴とする神経変性疾患である進行性非流暢性/失文法性失語の患者の脳血流低下部位を検討したところ、左下前頭回だけではなく、統語処理のネットワーク全体の脳血流低下が有意であることを明らかにした。また、認知症患者の言語性記憶機能と大脳皮質構造の比較検討を行ったところ、左島皮質の皮質構造の維持が言語性記憶に重要であることを明らかにした。さらに、左前頭葉の神経膠腫患者の大脳皮質構造を調べたところ、局所の脳腫瘍により大脳皮質構造が両側大脳半球を含めて全体的に変化することを明らかにした。 これらの知見は統語処理のネットワークの機能低下が統語構造の理解障害を惹起することを示唆する。
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