研究課題
これまでの研究から、海馬の担っている高次学習機能の神経基盤にミクログリアが関与する可能性が示唆されている。ミクログリア選択的な阻害剤であるミノマイシンを用いて、海馬が中心的な役割を演じている恐怖条件付け学習における作用の詳細を検討した。まず、養育環境がどのような影響を及ぼすのか検討した。その結果、集団で飼育しても個別で飼育しても学習の成立に影響を及ぼさなかった。記憶の過程には、記名、保持、想起、の過程があるが、最近では、保持の過程で再強化が起こり、その過程にも注目が注がれている。つまり、恐怖条件付け学習においても、その獲得過程と、再強化過程の神経基盤が異なることが示唆されている。その結果、ミノマイシンは再現性のある効果が認められなかった。以上の原因として、高次学習機能の神経基盤に、空間び時期特異的にミクログリアが関与する重要性が示唆された。つまり、ミノマイシンの腹腔内投与では、全身のミクログリアの機能が抑制されること、また、ミノマイシンのミクログリア機能の抑制に対する特異性が問題である可能性が示唆された。そこで、部位特異的かつ時間特異的にクログリアの機能を制御する目的で、当初は、ミクログリアのマーカーであるCD11bに注目したが、CD11bを発現していないミクログリアの存在が推測されたので、現在、CX3CRの発現をミクログリアで検討している。しかし、抗体の特異性に問題がある可能性があり、CX3CR-GFPマウスの使用を検討している。
4: 遅れている
CX3CRを抗体で染めることに困難をきわめているため。すなわち、CX3CRマウスを導入する前段階としてCX3CRを検出することに今のところ成功しておらず、したがって遺伝子改変動物の導入にはいたっていないため。
抗体を用いた免疫組織化学は困難をきわめているため、CX3CR-GFPマウスの使用を検討している。この場合、GFPとミクログリアのマーカーとしてIba1と二重免疫組織を行う。
今年度はCX3CRを染めることができなかったが、新年度には解決できると考え、実験が進むと期待される。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Neuroscience Letters
巻: 671 ページ: 70~75
10.1016/j.neulet.2018.02.017
Neuroscience
巻: 360 ページ: 139-145
10.1016/j.neuroscience.2017.07.025