研究実績の概要 |
2017年度の実験で、扁桃体基底外側核(BLA)を不活性化すると、拘束ストレスによって起きる超高頻度発火が阻止されることが解った。今年度はsilent periodを解析したが、拘束ストレス、異性、同性ラットとの交流、新規物体との交流のどの経験についてもsilent period はBLA不活性化で阻止されなかった。一方、BLA不活性化によるリップル様イベント波形への影響について解析を行ったところ、拘束ストレスによるduration, amplitude, duration, peak数の増加が阻止されるが、異性ラットとの交流後に起きるリップル様イベント波形にはほとんど影響がないことが明らかとなった。また、BLA不活性化が記憶形成にどのように関わっているかを調べるため、行動解析を行った。コントロール群の拘束ストレス中のvocalizationや脱出しようともがく潜時は、初回に比べて2回目には減少したが、不活性化群では減少しなかった。コントロール群のテスト台上でのフリージングは、拘束ストレスの24時間後に増加した。不活性化群でも増加したが、増加率がコントロールに比べて低かった。雌との接触では、コントロール群、不活性化群両方とも、雌陰部確認までの潜時間が初回に比べて2回目が有意に減少した。以上のことから、BLA不活性化は、強い情動性経験である拘束ストレスの記憶形成に関わっていることが解った。また、本年度はリップル様イベントにおける記憶情報の符号化様式を調べるため、リップル様イベントの自動抽出と、リップル様イベント内のpeakを1としたリップル様イベントの0/1変換を行った。現在、AIや機械学習を組み合わせた解析を行い符号化情報の解明に取り組んでいる。
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