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2017 年度 実施状況報告書

リナロール香気の抗不安作用と中枢神経回路基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K01988
研究機関鹿児島大学

研究代表者

柏谷 英樹  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (70328376)

研究分担者 桑木 共之  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80205260)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード抗不安作用 / 嗅覚 / リナロール / GABAA受容体
研究実績の概要

平成29年度はリナロール香気暴露による抗不安作用を高架式十字迷路試験及び明暗箱試験を用いて検証した。その結果、両試験においてリナロール香気の抗不安作用が明らかになった。
次にこの抗不安作用の嗅覚依存性を検証する為、3-メチルインドール腹腔内投与により一過性に嗅覚失調をきたすモデル動物(3-MIマウス)を用いて高架式十字迷路試験及び明暗箱試験を行った。その結果、3-MIマウスではリナロール香気暴露による抗不安様行動は消失していた。また不安様行動試験の後に行った嗅覚馴化/脱馴化試験により、3-MIマウスはリナロール香気を検出できていないことを確認した。これらの実験からリナロール香気暴露による抗不安作用は、リナロール香気により惹起される嗅覚入力によって発現することが明らかになった。
次にリナロール香気の抗不安作用のリナロール濃度依存性を、使用するリナロール量を20,200,2000μLとしたときに抗不安作用を高架式十字迷路により検証した。その結果、リナロール濃度と抗不安作用の間には正の相関があることが明らかになった。
最後に、リナロール香気の抗不安作用に対するベンゾジアゼピン受容体及び5-HT1A受容体の関与を受容体拮抗薬事前投与下の高架式十字迷路試験で検証した。その結果、リナロール香気の抗不安作用はベンゾジアゼピン拮抗薬で消失するのに対し、5-HT1A受容体拮抗薬では影響は見られなかった。これらの結果から、リナロール香気の抗不安作用にはa2サブユニットを含むGABAARを介したシナプス伝達が必須であることが明らかになった。
これらの結果を論文にまとめ、本研究の第一報として現在投稿中である(Harada et al. under submission)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

他研究者の研究動向を勘案し、当初平成30年度以降に予定していたリナロール香気の抗不安作用の嗅覚依存性及びリナロール濃度依存性、そしてGABAA受容体、5-HT1A受容体の関与に関して前倒しして実験を行い、結果を論文にまとめ投稿した。当初の予定と順序が前後しているが、研究はおおむね順調に進捗していると考えている。

今後の研究の推進方策

本年度予定していた不安試験の中で、論文執筆の関係で優先順位を落としたホールボード試験及びビー玉隠し試験を早々に完了させる予定である。またpeer reviewerより指摘のあった尾懸垂試験、強制水泳試験、パニック発作試験に対するリナロール香気の作用を合わせて検証する予定である。また、リナロール香気暴露により活動が制御される領域の、最初期遺伝子発現を指標としたマッピングを開始する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 香気誘発性鎮痛と抗不安作用2018

    • 著者名/発表者名
      柏谷英樹
    • 学会等名
      第95回日本生理学会大会
  • [学会発表] リナロール香気に誘発される抗不安効果2017

    • 著者名/発表者名
      原田浩輝、上村裕一、桑木共之、柏谷英樹
    • 学会等名
      第68回西日本生理学会
  • [備考] 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科統合分子生理学ホームページ

    • URL

      http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~physiol1/

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公開日: 2018-12-17  

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