本研究では、(1)人びとは土地の囲い込みによる生計手段の喪失だけでなく、植林事業がもたらす生活環境の悪化や紛争が長期化することによる精神的被害を経験していること、(2)紙製品の責任ある生産のための自主規制型ガバナンス(企業が定めた自主行動計画に基づく多様な利害関係者の協働)が動き出すなかで、こうした被害が不可視化されていることを明らかにした。それらをふまえて、今後取り組むべき研究課題として、(3)さらなる被害の掘り起こしやガバナンスをめぐる「現実」の構成過程とその影響に関する知見の提示などが必要であることを指摘した。
|