研究実績の概要 |
2020年度はコロナ禍のため、研究計画の大幅な修正を余儀なくされた。5月にオンラインで開催されたLASAの世界大会でEZLNとヤマギシ会を比較した研究報告を行い、EZLNの研究者と交流することができた。しかし、予定していた(1)編集者G. Villadelangel氏とメキシコのTV局の来日とヤマギシ会の撮影、(2)夏休み中のオトミー移住者とチアパスの自治コミュニティの調査、(3)ヤマギシ会の実顕地の訪問調査、は実現できなかった。 研究成果として、『ラテンアメリカ文化辞典』に「インフォーマリティ」「先住民族と貧困」を執筆した。インフォーマリティに関する西語論文はまだ投稿できていない。ヤマギシ会についてはVilladelangel氏とのスペイン語の小冊子を執筆中である。 メキシコのコロナ禍は深刻であり、昨春よりオトミー移住者を調査できる状況にはない。しかし、人類学者A. Guerrero氏と、オトミーの生業である民芸品販売の落ち込みへの対策として民芸品を紹介するHP制作プロジェクトを開始し、定期的に内容の更新をはかっている(https://orgullootomi.com.mx/)。EZLNについては、関連イベントに参加するNGO職員にZOOMインタビューを行った。ヤマギシ会のコミュニティ(実顕地)の調査はできないが、関係者のZOOM懇談会に参加している。 2021年1月には東京大学GSI主催のセミナーで、メキシコでの研究成果を概観した報告「異なるものをつなぐ、比べる:地域研究と開発研究の狭間で考える」を行った。また同年2月には、私が実行委員長として携わった第二回日墨コロキアムにおいて報告「Weak, Tolerant or Strong, Unforbearing?」を行った。これは、本研究のキーワードの1つであるインフォーマリティの研究を東アジアとの比較へと拡げたものである。
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