研究課題/領域番号 |
17K02007
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古泉 達矢 金沢大学, 法学系, 准教授 (90724831)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 威海衛 / イギリス帝国史 / 中国近現代史 |
研究実績の概要 |
本研究は、イギリスが中国から租借した山東省威海衛における統治政策と、同地をめぐるイギリスの対華政策の連関に焦点を当て、その租借から還付へ至るまでの過程において、両者が入れ子状に展開した過程を明らかにするものである。 本研究計画の2年目にあたる2018年度には、以下のような活動をおこなった。まず、昨年度に引き続いて8月25日から9月7日にかけて香港・イギリスを訪問し、ロンドン(イギリス国立公文書館)およびオックスフォード(オックスフォード大学リージェンツ・パーク・カレッジ付属アンガス文書館・図書館)にてイギリスの公文書および威海衛関連文書を調査・収集した。後者の文書館を利用するのは今回が初めてであったが、従来の中国史研究では必ずしも十分に利用されているとは言い難い宣教師関係の文書が豊富に所蔵されていることが判明した。 次に、昨年度の学会報告の成果として、第一次世界大戦期における威海衛からの華人労働者送出に関する論考と、香港返還をめぐる経緯と同地の現状を威海衛と比較した論文を、それぞれ刊行した。さらに、これまでに収集した資料を用いて、3月に華東師範大学(中華人民共和国)で開催された華東師範大学/金沢大学環日本海域環境研究センター連携部門合同シンポジウムにおいて、威海衛の救荒政策に関する報告を行った。 来年度もまた、今年度の学会報告の成果を刊行するよう努力すると共に、これまで収集した資料の読解を進めるほか、その過程で必要性が明らかとなった資料の調査・収集を進めてゆく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度の学会報告の成果を刊行することができた上、イギリスに所蔵されている資料の調査・読解を進める過程において、従来の研究では注目されていなかった論点や資料などが明らかになったため。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き、イギリスおよび東アジア各地の史料館・大学図書館などで資料調査・収集を継続するほか、今年度の学会報告をもとにした論考の執筆をすすめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度もまたイギリスでの滞在期間が当初の予定よりも短かったため、次年度使用額が生じた。これらの助成金は来年度以降の資料調査の旅費に当てることとしたい。
|