研究課題/領域番号 |
17K02007
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古泉 達矢 金沢大学, 法学系, 教授 (90724831)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | イギリス帝国 / 中国 / 威海衛 |
研究実績の概要 |
本研究は、イギリスが中国から租借した山東省威海衛における統治政策と、同地をめぐるイギリスの対華政策の連関に焦点を当て、その租借から還付へ至るまでの過程において、両者が入れ子状に展開した過程を明らかにするものである。 本来、本研究計画の最終年度は2021年度を予定していたが、コロナウィルス拡大の影響を受けて20・21年度共に国内・海外での史料調査・収集を実施することができなかったことから、研究計画を1年間繰り越した。ところが22年度においてもなお、海外での調査は容易ではない状況が続いていたことから、史料調査・収集は国内の研究機関のみにとどめ、今までに収集した史料の分析と執筆に注力した。 第一に、21年12月に開催された歴史学会での報告をもとにした原稿を1本、活字化した。また、2019年度までに中国で実施した農村訪問調査記録を、適宜修正を加えた上で他の報告と併せて改めて編著として刊行した。 第二に、21年12月に開かれた九州史学会で発表した、第一次世界大戦期に威海衛から送出された華人労働者の徴募活動をめぐる研究について、内容を拡充・改変した上で、22年6月に開かれた東洋文庫近代中国研究班の研究会において報告した。このテーマについては今後も資料の調査・収集を継続し、最終的には活字化をはかる予定である。 国外での史料調査ができなかったので、そのために確保しておいた予算を再度2023年度に繰り越さざるを得なかった。現況では、実質的に国内での移動については制約がなくなり、また海外との往来についてもかなり自由になったので、23年度には国内・国外での史料調査・収集をさらに活発に行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内での史料調査・収集については実現することができたほか、中国近現代史に関する研究成果を世に問うことには一定の成果を収めた。しかしながら、当初予定していた国外での史料調査・収集については、22年度もまた実施することができなかった。そのため、結果としてやや遅れていると言わざるを得ない。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度には国内における移動の自由は回復したほか、年度末までに海外との往来についてもかなり状況が改善した。そのため、23年度こそは国内に加えて海外における史料調査・収集も再開させ、次の論考の執筆に取り組む予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスによる影響のため、当初予定していた海外での史料調査・収集を2022年度もまた実施できなかったため、残額が生じた。本報告書の執筆時点(23年5月)で、海外との往来や各史料館の利用をめぐる制約はかなり緩和されているため、23年度こそは繰り越した助成金を利用して海外へ渡航し、史料調査・収集に取り組む予定である。
|