研究実績の概要 |
本研究は、中国文化大革命の集合的暴力に関する個別の事例研究を比較・統合し、体系的な理解へとつなげることを目的としている。初年度のH29年度には研究協力者との分析概念・枠組みの共有化のための作業を行なった。H29年度の研究成果としては、1月に査読付きの英文ジャーナル(WoS [SSCI])であるModern Chinaに単著論文 (“The Policy of the Military ‘Supporting the Left’ and the Spread of Factional Armed Warfare in China’s Countryside: Shaanxi, 1967-1968”) を発表した。 2年目のH30年度には、文化大革命の集合的暴力についての総合的・体系的な理解を促すことを目的として、分析枠組みの再構築に向けての作業を行なった。関連する業績として、単著論文「『毛沢東独自路線』再考試論」(『近代』第119号、 2019年3月)を発表した。 最終年度となるR1年度には、個別の事例研究を統合した文化大革命の集合的暴力についての新たな分析枠組みを提示するための作業を行なった。関連する業績としては、1)「陰謀論として継続革命論、そして文化大革命」、石川禎浩編著『毛沢東に関する人文学的研究』京都大学人文科学研究所、2020年、275-302頁、 2)監訳書(フランク・ディケーター著『文化大革命ーー人民の歴史1962-1976』人文書院、2020年)に書いた解説(182-191頁)を挙げることができる。 なお、最終年度のR1年度後半に大学業務が多忙であったことに加え、新型コロナウイルスの影響もあり、本課題の1年延長を申請した。さらにR2年度も一年を通じて海外での打ち合わせや資料収集を行えなかったため、R3年に文献資料を追加し、本課題を終了した。
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