本研究では経済がグローバル化する中で、中進国であるフィリピンにおいてどのような労働構造や実態が展開しているのかという課題にについて検討をおこなった。一方で経済グローバル化に対応した労働市場の自由化、柔軟化が推し進められ、サービス産業における国際的なビジネス・アウトソーシングBPOの隆盛が大量の孤立した高収入労働者を生んできた。他方では、大量の労働力輸出=海外出稼ぎ労働者の送り出しの制度化や、家内工業的な前近代的生産慣行や児童労働、インフォーマル経済活動なども排除されることなく、むしろ有機的に取り込まれる形でフィリピン固有の労働体制(レジーム)が機能していることを論じた。
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