研究課題/領域番号 |
17K02022
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木下 博子 九州大学, 留学生センター, 准教授 (60711223)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 留学生コミュニティ |
研究実績の概要 |
昨年度の計画を発展させるため帰国した留学生の追跡調査を実施し、元留学生が現地社会で果たす社会的役割について考察した。 具体的には、留学前の生活実態を留学先ごとに分類して整理した。さらに、留学生コミュニティの実態については、昨年度の計画①で採取したデータを留学先ごとに分析し、本年度②の聞き取り調査の結果とあわせて分析をすることで、個人的ネットワーク量、互酬性への期待、相互の信頼という指標の密度や強弱が判明し、留学先別の留学生コミュニティの特徴を明らかとした。 また、国内でのフィールドワークを実施した。本フィールド調査では、日本の留学生コミュニティにおける参与観察、・聞き取り調査を実施した。具体的には、個人的なネットワーク量、互酬性、信頼、学修状況の指標をもとに、国内の国立大学にて形成されるインフォーマルな同郷人会を対象とした。特に、国内のエジプト人留学生による同郷人会、およびインドネシア人学生協会での行事へ参加し観察を行ったが、昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、学生協会での活動が再開されていないところが多く、行事予定が急遽キャンセルになった。そのため、遠隔会議システムを利用して、オンラインでの開催された行事に参加し、学生同士の交流を考察した。また、直接的・間接的相互交渉の内容や頻度について、聞き取り調査を実施した(オンラインと対面)。なお調査にあたっては国内最大数のエジプト人留学生が学ぶ勤務校にて、申請者の所属するE-JUST連携センターでのエジプト人留学生サポート環境を活用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も新型コロナウイルス感染症のため、海外におけるフィールド調査を実施することができなかった。また、国内でのフィールドワークも行事予定が急にキャンセルになったり、大学内での課外活動が制限されている大学も多く、オンラインでの開催が主であった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は以下の作業を実施する。 ①フィールドワーク:過去2年間フィールドワークを実施できていないことに加え、本邦の海外渡航制限の緩和が先読みできないことから、主としてオンラインでのインタビューや、オンラインで開始される行事に参加することを予定している。また、日本国内で、エジプト人留学生による同郷人会にて開催される催しや行事への参与観察を実施する。 ②量的データと質的データの融合:研究連携者両氏と連携し留学生の社会的ネットワークに関する量的データと、聞き取り調査や参与観察によって得られた質的データとを融合させ、総合的な分析を実施する。具体的には、統計的手法やクラスタリング手法といった情報処理技術を活用する予定である。これにより、グローバルな移動が東南アジアと中東地域にもたらす社会変容を包括的に解明する。 ③アウトプット:本研究課題の成果を国際学会で発表、および論文投稿を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症のため、国内外におけるフィールド調査ができず旅費を使用しなかったため。
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