研究課題/領域番号 |
17K02023
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
星川 圭介 富山県立大学, 工学部, 准教授 (20414039)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 合成開口レーダ / 天水農業 / 土壌含水率 |
研究実績の概要 |
2018年度までに2つの領域を対象として全地球測位システムを用いたサブセンチメートル級精度の測量を行っており,2019年度はその測線沿いの合成開口レーダ(PALSAR)後方散乱係数および光学センサ(Sentinel-2)短波赤外反射率と地形の関係について詳細な分析を行った. 合成開口レーダの後方散乱係数については雨期の初めから中盤(多雨年は6月ごろから,少雨年は9月ごろから)に低位部における低下がみられるものの,その他の時期に取得されたものについては地形との関係に乏しいことが明らかになった.一方で光学センサの短波赤外反射率については乾期の初期(12月から1月)に低位部における低下が認められた.後方散乱係数の低下範囲は短波赤外反射率の低下範囲に比べて河川沿いなどより局所的であり,両者を組み合わせることにより水文条件の段階的な評価が可能であることが示唆された. また,後方散乱係数や短波赤外反射率の低下範囲の分布は単純に絶対的な標高によるのではなく,比高差数メートル規模の浅い谷間の低部など,局所的・相対的な標高変化によっており,これらのリモートセンシングデータを用いた水文条件の評価は,数値標高モデルを利用した評価と比べて高い精度と効率をもたらしうるものと期待される. これらの結果を踏まえ,2007年9月,2008年6月,同9月のPALSAR合成開口レーダ後方散乱係数および2018年12月中旬,2019年12月下旬のSentinel-2短波赤外反射率を独立変数とするk-meansクラスタリングを行い,水田の水文条件分類図を作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終年度の3月に最終成果とりまとめに向けた現地調査と現地カウンターパートとの打ち合わせを行う予定であったが,新型コロナウィルス流行により中止を余儀なくされたことが進捗遅れの理由である.
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今後の研究の推進方策 |
期間の延長申請が認められたことから,本年度のうちに現地入りが可能になれば当初の調査と打ち合わせを行う. 本年度いっぱいの渡航が不可能であればこれまでに収集できたデータとリモートセンシングデータにより可能な範囲において分析を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を完成させるため,3月に補完的な現地調査と現地研究機関との打ち合わせを予定しており,そのための予算を確保していたところ,新型コロナウィルスの流行により現地への渡航が不可となっため,次年度使用額が生じることとなった. 2020年度中に現地への渡航が可能になった時点で改めて現地調査と打ち合わせを実施する予定であり,この次年度使用額についてはその費用に充当する計画である.ただし本年度についても現地渡航が困難である場合には,有償リモートセンシングデータの購入などに一部を充当する.
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