研究課題/領域番号 |
17K02023
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
星川 圭介 富山県立大学, 工学部, 教授 (20414039)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 合成開口レーダー / 後方散乱係数 / 天水田 / 生産力評価 / 偏波 |
研究実績の概要 |
予定していた現地調査が実施できなかったため,ALOS-PALSAR2合成開口レーダ後方散乱データを追加で購入し,さらに無償提供されているSentinel-1合成開口後方散乱データも合わせて,合成開口レーダを用いて水田の分類を行う手法の開発を進めた.PALSAR-2はこれまで使用してきたPALSARと同じくL-bandで対象地域ではHHとHV偏波を観測,これに対してSentinel-1はC-bandで対象地域ではVVとVH偏波を観測している. 令和2年度までに行った1平方km四方の範囲における後方散乱係数と標高の相関分析において,PALSARの後方散乱係数は標高と負の相関を有すること,HV偏波はHH偏波に比べて決定係数が高くなることが示された.令和3年度に行ったPALSAR-2とSentinel-1を用いた同様の分析でも,後方散乱係数と標高の間に負の相関がみられ,PALSAR-2においてはHV偏波,Sentinel-1においてはVH偏波において決定係数が高くなる傾向が顕著にみられた.これらの結果から,地表面の部分的湛水にはクロス偏波が高い感度を有していることが示唆された. また,L-bandに比べて植生に対する透過能力が低いC-bandでも,対象地域において稲が地表面を覆う8月中旬ごろまで比較的高い決定係数が維持される結果となった.8月中旬において全体的にL-band方が高い決定係数を示すものの,低地と丘陵の境界部分などで一部C-bandの方が高くなる箇所も散見された.両波長帯の合成開口レーダの観測結果を組み合わせることにより,水田分類の精度を向上させられる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最終年度に現地調査を通じた成果の確認を実施する予定であったが,渡航ができない状況が継続したため.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度中に対象地域への渡航が可能になれば現地調査を行い事業を通じた成果のとりまとめを行う.引き続き渡航が困難な場合は当初方針を転換し,予算残額をデータ購入に振り替え,現地調査を伴わない形での分析精度の向上を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
事業期間を延長し,これまでの分析結果(水田分類の結果)を確認するための現地調査を実施する計画であったが,現地への渡航規制が継続されたことにより,調査経費が未執行となった.このため代替措置として一部をデータ購入に充当し,データ分析を通じた精度の向上を図った.令和4年度中に現地への渡航が可能となれば残額により短期の現地調査を実施するが,不可能な場合はすべてデータの購入に振り替える.
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