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2018 年度 実施状況報告書

カリブ海旧イギリス領諸国における植民地時代の事物の現存と歴史的記憶

研究課題

研究課題/領域番号 17K02026
研究機関京都府立大学

研究代表者

川分 圭子  京都府立大学, 文学部, 教授 (20259419)

研究分担者 山口 美知代  京都府立大学, 文学部, 教授 (50259420)
井野瀬 久美惠  甲南大学, 文学部, 教授 (70203271)
竹下 幸男  畿央大学, 教育学部, 准教授 (10382011)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードイギリス史 / 近代史 / 現代史 / イギリス帝国 / カリブ / 西インド / プランテーション / 砂糖
研究実績の概要

今年度は、研究会を、6月10日、9月21日、12月20日、3月29日の計4回甲南大学で開催した。この間に、イギリス近現代文学や大衆文化、現代世論について詳しい研究分担者1名を加え、2010年代における最新のイギリスの旧植民地認識や移民に対する感情などについて報告を受けた。また、旧イギリス領カリブ諸島の中でも研究代表者と研究分担者が訪問できていないドミニカ国について詳しい情報を持つ研究協力者1名も得ることができ、イギリスで移民として半生を過ごした旧イギリス領カリブ人の歴史認識や後代に歴史を伝える活動についても、生の情報を得ることができた。このように、研究成果が歴史と現代、および本国と植民地の相互関係を解明する方向に大きく展開してきたため、この成果を学界に問うべきではないかと考え、9月以降は、次年度(2019年度)の日本西洋史学会の小シンポを企画し、申し込み、受理された。現在その準備中である。
現地調査としては、研究分担者1名とともに、トリニダード&トバゴに、現地遺構の踏査と、史料館における資料調査のため、赴いた。事前に、トリニダード史研究者北原靖明氏と面談し、情報を収集した。
研究代表者一人での調査活動としては、英領カリブ現代史、20世紀の砂糖商社、20世紀の世界砂糖貿易や世界貿易体制、英領カリブにおけるカリブ近現代史の史学史、砂糖プランテーション遺構とその保存体制およびツーリズムとの関係について、文献を収集することに努めた。また、これまで数度のカリブへの海外出張で得た写真・ビデオの素材の整理を行った。これらの調査結果は本年度中はまだ論文など文書で公表する段階には至らなかったが、一部は先述の小シンポで公表し、その後は年度末の報告書の素材として用いる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

科研申請時点では予定していなかった新しい研究分担者と研究協力者を加え、それによって、新しい観点や調査結果を本科研に盛り込むことができ、それが本科研が当初予定していなかった2019年度第69回日本西洋史学会大会小シンポの企画へとつながった。より具体的には、本科研が予定していた問題は、プランテーション遺構の現存や言語的問題とそれにかかわっての歴史的記憶という問題であるが、新たな研究者の参加により、2010年代イギリス本国の旧英領カリブ植民地への記憶のありようや、イギリスに移民したのちカリブに帰還した旧英領カリブ人の歴史的記憶のあり方や語り部としての活動など、より広範な視野での、歴史と現代における本国と植民地の関係史・歴史的記憶の問題を取りあげることができるようになった。日本の西洋史学界では、歴史と現代の問題を結び付けて議論することがほとんど行われておらず、また日本のイギリス帝国史研究ではカリブ地域は取り上げられることが非常に少ないので、日本西洋史学会でのシンポで本科研の成果を報告することは、学界に大きな刺激となると予測される。それから考えて、このシンポの規格のため今年度研究会を重ねたことは大きな意味がある。
このほか、研究協力者の紹介で、他の西インド諸島研究者と知り合うこともでき、在外研究前に現地について詳しい情報を得ることができた。

今後の研究の推進方策

5月19日の日本西洋史学会小シンポ当日までは、その準備を行う。具体的には、個々の報告者とメールまたは直接の面談で、レジュメを確認しあい、報告内容の統一を高める。またシンポ当日のシンポ前に、研究会を設け、シンポの準備を行う。シンポ後は、また研究会を開催し、シンポ報告の活字での公表方法を検討し、それと合わせて、シンポ報告内容の反省、今後の研究の進め方について、討議する。その後は、報告書または書籍の企画、印刷所・出版社との交渉を行い、それとともに次の科研のテーマを検討する。この過程で、必要な資料調査のために、国内の研究機関、場合によっては海外の研究機関にも出張を行う。年度末に報告書を作成する。また、研究代表者、分担者、協力者以外の西インド研究者にも、投稿を求め、適宜報告会・研究会を行う。

次年度使用額が生じた理由

カリブ現地への在外研究を、より長期に行う予定だったが、勤務先大学の入試業務・公務により、大幅な短縮を余儀なくされた。また、また、この在外研究は、研究代表者と分担者2名の3名で行う予定だったが、分担者1名が多忙で参加できなかった。国内研究機関・大学における調査も、やはり公務多忙のため、ほとんど実施できなかった。その結果、旅費は大幅にあまり、その一方で、研究調査活動の主体を文献収集にあてたため、物品費(書籍代)が大幅に増加している。また、今年度途中から次年度に日本西洋史学会小シンポを行い、その成果報告も文書としてまとめたいという計画が浮上したので、そのために余った予算を積極的に残した。
余った予算については、成果報告書の印刷費・配布のための郵送料のほか、可能であれば、短期の在外研究を行う計画である。また今年度加わった新しい研究分担者と新しい研究協力者に、日本西洋史学会小シンポのための旅費・書籍購入費として配分する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 書評 笠井俊和著『船乗りがつなぐ大西洋世界 : 英領植民地ボストンの船員と貿易の社会史』2019

    • 著者名/発表者名
      川分圭子
    • 雑誌名

      経営史学

      巻: 53(4) ページ: 73-76

    • 査読あり
  • [図書] 1683年 近世世界の変容2018

    • 著者名/発表者名
      島田 竜登
    • 総ページ数
      292
    • 出版者
      山川出版社
    • ISBN
      978-4-634-44507-9

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公開日: 2019-12-27  

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