基本的には、これまでの研究成果を論文などの形で公表することが中心となった。査読つき論文1、英文書籍の分担執筆1、学会発表1、国際学会でディスカッサント1で、本プロジェクトでの研究成果を概ね公表したことになる。本研究のなかで中心的課題として追求してきた、農村部の生業生態系の変化と人々の政治的意識の変化を関連づけた論文の他、関連して、タイ農村部の社会経済的変化や生活スタイルの変化を見据えて、社会や政治の動きを論じるものとなっている。 このほか、本研究の成果から発展させて、現代的なタイ農民の社会経済が中間層化してきている実情と、それを認めずに、農民は自然に根差した自給的な暮らしを送るべきという保守的な見方との間の文化の政治を考えるべく、今後の研究のあり方について整理をした。 2023年3月に、コロナ後、初めてタイに渡航し、これまでの研究成果との関連から、タイ東北部の農村社会の動きを把握しようと試みた。コロナ期間中に、カーボンニュートラルなどの面で飛躍的に前進しており、今後のタイ農村での人々の暮らしと自然資源と政治の関係を考える上で、新たなファクターとして重要となっていることを確認した。タイでは近々、総選挙が行わるが、その動向についても意見交換などをし、本研究が明らかにしたような事態がどのように現在の政治状況を基礎づけているのかについても確認した。
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