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2018 年度 実施状況報告書

エチオピアの無形文化遺産をめぐる文化の政治学

研究課題

研究課題/領域番号 17K02031
研究機関広島市立大学

研究代表者

田川 玄  広島市立大学, 国際学部, 教授 (70364106)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード無形文化遺産 / エチオピア / オロモ / ボラナ / ガダ体系 / 文化政治 / 民族文化の表象
研究実績の概要

平成30年度は、4月に日本ナイル・エチオピア学会学術大会において、エチオピア連邦政府の担当部局からユネスコに提出され公開されている申請書類の記載内容を、「文化翻訳」という観点からとらえた研究発表を行った。
8月から9月にかけてエチオピア連邦共和国オロミア州ボラナ県において、現地調査を行った。調査期間は新しい首相のもとで政治的な開放政策がはじめられた時期であり国外に退避していた活動家などが帰国しはじめており、オロミア州のボラナ県においても若い世代を中心にその影響があらわれていたが、一方でオロミア州においてエスノ・ナショナリズムの先鋭化も見られた。また、ガダ体系の役職者が仲介者として政治的に活躍している姿がメディアに報じられていた。
現地調査では、オロモの無形文化遺産とされているガダ体系が、ローカルNGOによってどのように「文化資源化」されているのかについての調査を行った。このなかで、あるローカルNGOがアメリカの文化支援の基金から支援を受けたプロジェクトの一環として、無形文化遺産のリストに登録されたことが決定された日を「ガダの日」としてイベントが行われたことは興味深い事例であった。
2月にはエチオピアのアジスアベバ市において、エチオピア連邦政府文化観光省文化遺産保護局とオロミア州立オロモ文化センターでインタビューと資料収集を行った。インタビューでは、申請書作成のプロセスにおいて、特定の地域集団の維持しているガダ体系が記載の根拠となっていることが明らかにされた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エチオピアにおいて二回の現地調査を実施し、連邦政府担当部局、オロミア政府文化センターといったナショナルな無形文化遺産の担い手から、オロモ系地域集団ボラナの「文化の資源化」ともいえる活動を行っているローカルNGOをはじめとする担い手にインタビューを行うことができた。

今後の研究の推進方策

引き続き現地調査を行う。特にボラナ県においてはガダ体系の儀礼の調査を行い、儀礼のプロセスについての調査を行う。また、当事者のボラナ人のほかに、NGOや政府、研究者などの外部者がどのように関係して儀礼が成立しているのかについても注目したい。

次年度使用額が生じた理由

学内事情により、年度末の海外現地調査の期間を短縮し調査地域も限定したことによる。令和元年度では長期の海外調査を予定しており、繰り越して使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 文化翻訳としての無形文化遺産 エチオピアのガダ体系を事例として2018

    • 著者名/発表者名
      田川 玄
    • 学会等名
      第27回日本ナイル・エチオピア学会学術大会

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公開日: 2019-12-27  

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