研究課題/領域番号 |
17K02035
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
渡辺 靖 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (70317311)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | アメリカ |
研究実績の概要 |
調査そのものは関連団体へのヒアリングも含めて、おおむね順調に進展している。2016 年の大統領選時からオルトライトと称される白人至上主義系団体による活動がメディア等で報じられるようになった。トランプ候補のコアな支持層とされる白人 労働者層の一部にはそうした団体の主張に共鳴する者もおり、それゆえトランプ氏の対応に関心が寄せられたが、黙認するかのような姿勢に多くの批判が寄せら れた。大統領就任から約半年後の2017年8月にはバージニア州シャーロッツビルで白人至上主義団体が、南北戦争時の南軍指導者の銅像撤去に抗う形で抗議 デモを展開、それに反対する市民と衝突し、死者が出る悲劇となった。しかし、トランプ大統領が白人至上主義団体側を明確に批判することはなく、反対した市 民も暴力に訴えた点を指摘し、喧嘩両成敗であるかの判断を下し物議を醸した。近年は白人至上主義に反対する側も組織化され、アンティファ(アンチ・ファシ ズム)などその手段として実力行使を厭わない団体の活動も顕在化している。昨年度に続き、今年度はこうした組織についてヒアリングを重ねることができた(ただし、具体的な団体名や詳細については、今後のフィールドワークの都合上、現時点では伏せる)。近年、自らの宗教、民族、国家、政治的信条などが危機に晒されているという意識に基づくトライバライズム(部族主義)の台頭が世界各地で散見されるようになった。今後は、そうしたより大きな流れの中で本研究を位置づけるべく、各国状況の把握・比較なども視野に入れたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初アクセスが困難と思われたインフォーマントから調査協力を得ることができた点は大きい。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度になるので、インフォーマントへのヒアリング調査を中心に、アメリカ国内、そして余力があればアメリカ国外の白人至上主義団体へのヒアリングも目指したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度前半までサバティカルで科研費を使用しなかったことによる。サバティカル終了以降、前年度後半の支出は予定通り。
|