研究課題/領域番号 |
17K02040
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 元哉 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80454403)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中華民国 / 中華人民共和国 / 台湾 / 香港 / 政治思想 / 冷戦 / 盤古 |
研究実績の概要 |
今年度は、前年度までに明らかとなった1950年代から1970年代の中華圏における政治思想の動向を国内外で報告し、多くの研究者から意見をうかがうことを活動の一つの柱とした。主に、東京、神戸、台北、名古屋(長久手)、鄭州で報告・コメントし、学術交流をおこなった。また、前年度に整理した1970年代の香港の政治思想については、京都大学人文科学研究所(石川教授編)の論文集で公表した。20世紀前半の民国期からの視点をふまえて、冷戦下の中華圏における動向を踏まえることの重要性は伝えられたと感じるが、他方で、民国という歴史的視点や冷戦という国際的要因とは別に、香港や台湾の歴史的文脈とどのように接合するのかはますます重要な論点として浮かび上がってきた。これらを総合して、1980年代の中華圏の政治思想を整理することが今後は求められそうである。 なお、今年度は、中国語のみならず英語による研究交流も活動の一つの柱としていたが、不測の事態(ウィルス感染の拡大など)が相次いで発生したことから、中止・延期せざるを得なくなった。また、上述の成果を韓国の東アジア近現代史研究者と共有できる機会もあったが、こちらも延期せざるを得なくなった。これらの機会を通じて議論したかったことは、20世紀後半の中華圏におけるリベラリズムとナショナリズムの関係性が戦後の日本と比較してどの程度の同質性と異質性をもち、それらは冷戦の論理とどの程度関連していたのか、ということだった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1970年代から1980年代に関する現地での史料調査は少し遅れているが、そのかわりに各種データベースで必要な情報は得られている。また、今年度末の学術交流は予定どおりにすすめられなかったが、それ以前の時期においては、想定していた以上の報告機会を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
4年間の成果を総括すると同時に、1980年代の中華圏の政治思想を分析する新たな視角を考え、中国近現代史研究・中国地域研究の発展に貢献したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に国内出張を計画していたが、ウィルスの感染拡大をうけてテレビ会議で参加した為。資料収集費として活用予定である。
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