研究実績の概要 |
2019年度はインドネシアの大統領選挙の調査分析に集中した。5年前、「庶民派」リーダーとして世論の支持を得たジョコ・ウィドドが、どのような選挙キャンペーンで今回の選挙に臨むのか。対抗馬は、現職にないカラーをどう出していくのか。国内外の政治環境が変化するなか、「庶民派」という売りだけでは得票に限界を感じた現職は、宗教的なアピールもキャンペーンに組み込み、むしろ、その後者の効果が再選に大きく貢献したと思われる。さらにはSNSを使ってのサイバーキャンペーンの激化も特徴であった。こういう選挙はインドネシアの民主主義をどう変容させていくのか。アジアの政治変動を理解し、日本のアジア外交を深めるヒントがインドネシアにあると思われる。研究成果は、学会報告、講演会、論文等の形で発表した。以下が一部である。
・「2019年大統領選挙で何がおきたか:分断と凝集の政治ベクトル」『IDEスクエア』日本貿易振興機構アジア経済研究所、2019年5月、pp.1-6. ・「兵器化される情動反応――2019年インドネシア大統領選挙にみる選挙テクノロジーの影」Synodos, 2019年6月6日 ・“Indonesia: Dominance, Twilights, and Legacies of Power,” in Volker Grabowsky and Frederik Rettig (eds.), Armies and Societies in Southeast Asia (Chian Mai: Silkworm Books, 2020). ・「インドネシア・ジョコウィ政権にみる情動エンジニアリングの政治」見市建・茅根由佳編『ソーシャルメディア時代の東南アジア政治』明石書店、2020年
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