本研究は,カンボジアで再編がすすむ地方行政制度をテーマとし,地方行政体システムの変化や地方財政の変遷等について,文献調査や聞き取りをつうじて得られた情報を整理・分析することで,既存研究のギャップをうめるとともに,カンボジアで活動する数多くの日本の国際協力団体による取組のより円滑で効果的な実施に資することを目的にしたものである。 2019年度は,2017年度・2018年度にひきつづき,夏に,カンボジアに渡航し,これまでの調査研究活動をつうじて構築してきた現地の大学・シンクタンク所属の研究者,多国間・二国間援助機関,国際NGOの職員に加え,現地の市民社会組織(CSOs)に所属する職員・活動家らにもコンタクトし,2017年度から取り組んできた地方財政についての情報収集に継続して取り組んだ。より具体的には,州・郡・コミューン各レベルの評議会に対する中央政府からの機能移転,これにともなう財政移転,そして,地方行政体による自主財源の確保に関する政府の政策文書,関連する研究者が作成したレポート,政府データの収集を行なった。帰国後,秋から今春にかけては,現地滞在中に得られた資料を読みすすめ,データを整理するなかから,カンボジアにおける地方財政の現状を整理し,どのようなところに特徴づけられるのかを検討した。 現在は,2020年度中の発表に向けて,これまで書いてきた論文ドラフト版の書き直しを行っているところである。
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