研究課題/領域番号 |
17K02059
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研究機関 | 大阪成蹊大学 |
研究代表者 |
国枝 よしみ 大阪成蹊大学, 経営学部, 教授 (60465870)
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研究分担者 |
山田 勅之 北海商科大学, 商学部, 教授 (40582995) [辞退]
小長谷 一之 大阪市立大学, 大学院都市経営研究科, 教授 (50225463)
野村 佳子 摂南大学, 経済学部, 教授 (60583705)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 最も美しい村 / サービスオペレーション / ブランドマネジメント / 宿泊施設 / 高齢化 / サステナビリティ / 住民意識 |
研究実績の概要 |
「フランスの最も美しい村」連合は, 1982年の設立以来,約160の村の歴史・文化やモニュメントの保存と品質向上を図り観光資源としてのブランド力を高めている. 一方, 2005年発足の「日本で最も美しい村」連合(2019年現在64自治体が加盟)は,観光資源を活かした集客や価値創造が十分達成できているわけではない. そこで本研究では,連合における観光客の実態と加盟効果に対する住民の意識等を測ることを目的とした定量調査及び,宿泊施設において経営の状況や観光客の動向を聞き取る定性調査を行うこととした. 定量調査の対象は加盟自治体の宿泊施設経営者とし, 調査票を送付し回答を得る方法をとった. こういった調査は連合にとっても初めてであった. 調査票配布総数は678通,調査項目は宿泊施設の開業年数,宿泊客のプロフィール(訪問動機,滞在期間,交通手段,同行者,年代,居住地域,性別,予約経路), 同連合について(加入の認知,加盟後の効果,自社の情報発信やイベント企画,宿泊客の連合に対する反応)等をリッカート尺度等を用いて質問した.回収数は204票, 有効回答数は177票, 有効回答率26.1%であった. 分析はクロス集計,分散分析等を行い,加盟による影響や観光客等の利用動向を考察した. 定性調査では, 施設に宿泊し,経営者に運営の実態を聞き取りする方法をとった. 調査項目は, 運営形態,宿泊客の属性(訪問動機,アクセス,属性,予約手段),連合について(加入の認知,加盟後の効果,自社の情報発信やイベント企画,宿泊客の連合に対する反応),宿泊関連のサービス,経営上の課題等了解を得て質問した.以上の調査結果は,連合事務局,各加盟自治体に報告するとともに, 過疎地域における経営や宿泊形態によるサービス提供の課題と今後の解決策を考察し, 2020年3月のサービス学会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は,国内の「最も美しい村」連合加盟自治体おける観光客の実態及び連合加盟効果に対する住民の意識, 宿泊施設の経営状況を把握するための定量・定性調査を計画どおり実施した. 各自治体には当初の予想を超える約700軒の施設が存在したが, 調査結果から運営の実態は高齢化, 過疎化によって厳しい状況であることが明らかになった. また,フランスと比較すると住民にとって「最も美しい村」連合の加盟効果があまり感じられていない, あるいは もっと宣伝が必要だと感じていることも判明した. 今後の課題として連合のブランドを強化し,マーケティング戦略の立案と実行が必要であると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
今年は最終年度となることから「日本で最も美しい村」の訪問客を増やすことや, 観光を柱に地域の活性化を図ろうとしている地域の参考になるための施策を探るためのWeb調査を予定している. 調査対象は, 過去3年間に国内旅行をした25才~65才の男女400名とし,これまでの消費者行動の性向を測るとともに新型コロナウイルス感染が収まりつつある中で, 今後の旅行先に対する期待や旅行先での行動にこれまでと比較してどのような意識の変化が起こっているか等も質問項目に加える. Web調査の手法としては,各村の写真等を提示してどのような要素が訪問のきっかけになるかを見極める.この調査結果を基にブランドの強化策,マーケティング戦略を立案し連合に提供する.一方,国内における過疎地域で観光による集客を図る政策を実施している自治体にも活かせる政策提言を行う予定である. 現在のコロナの状況を鑑みると調査は年度後半にずれ込むと思われるが,Web調査であることから計画通りに遂行できると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は,共同研究者が辞退したことから研究計画の実施内容を全面的に見直すこととなった.そのため本来予定していた調査・研究を他の共同研究者とさらに分担するように修正した. 結果, 調整と準備に時間が必要となり研究費用の実行を延期しつつ進めたため次年度使用額が発生した. 今後は, 先行研究を経て事前調査,Webの本調査を行い,分析結果をまとめて論文として投稿・発表する予定である. そのための調査費用, 学会参加費,旅費等を使用することにしている.
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