研究課題/領域番号 |
17K02060
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
名嘉山 リサ 和光大学, 表現学部, 准教授 (80455188)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 琉球列島米国民政府 / USCAR / ニュース映画 / 占領政策 / 教育映画 |
研究実績の概要 |
戦後の沖縄で、アメリカ軍政府・民政府は、ニュース映画、教育映画、ドキュメンタリー映画、テレビ番組など、映像を使った啓蒙活動・教育活動・広報活動 を重視し、かなりの資本や人材を投入した。本研究では、27年間のアメリカ統治時代の沖縄におけるアメリカ政府関係機関制作映像の制作背景、流通、上映・放映や受容について公文書を中心に調査し、映像を収集・分析し、これまでほとんど研究されてこなかった、アメリカが沖縄で行った映像メディアによるパブリッ ク・ディプロマシー/プロパガンダや文化戦略に関して、総合的に検証することを目的としている。 本年度は、民政府から番組制作を委託され、1965年に13本の沖縄の産業映画を製作した牧野守氏へのインタビューを出版した。米民政府の資料からはうかがい知ることのできない当時の体験談を詳細に伺うことができ、貴重な情報を得ることができた。 そのインタビューや、コロンビア大学の牧野コレクション、公文書館で得た資料をもとに、12月に開催された第14回日本映画学会全国大会の沖縄映画のシンポジウムにおいて、「アメリカ統治期沖縄の産業界の記録―米国民政府企画テレビ映画「沖縄の生産業シリーズ」(1965年)」と題した発表を行った。また、10月に和光大学ポプリホールで行われた市民講座で、「米占領期沖縄で制作された米国製映像に見る戦後沖縄」と題し、米民政府制作映像復元版の上映と講演を行った。沖縄の占領期の状況について研究者だけでなく一般の方々にも紹介することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関係者へのインタビューの内容をご当人とともに確認し、出版することができた。また、研究成果を学会等で発表し、フィルムのデジタル化申請もほぼ順調に行うことができ、関連図書を選定・購入できた。著書の出版準備も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は収集した資料や映像をもとに、論考をまとめ著書を出版する予定である。また、研究発表やフィルム・資料の収集も引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
業者にフィルムのデジタル化を委託予定だったが、米国国立公文書館にも同時にデジタル化申請を行っており、米政府の状況によって進捗状況がかわったことがある。また、研究途中でデジタル申請するフィルムの優先順位が変わることもあり、一定期間様子を見てまとめて依頼する方が効率がいいと考えたため、次年度に行うこととした。
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