研究課題/領域番号 |
17K02062
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
辻田 祐子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 研究員 (60466068)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スラム / 貧困 / 労働 / 教育 / インド |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インドにおける都市スラム世帯の教育と貧困の関係を分析することである。具体的には、2007~09年、2012年に実施した首都デリーのスラム世帯を再調査し、教育が消費や所得で計測される貧困に与えた影響と貧困が次世代教育に与えた影響を検証する。これらの分析において、5年前、10年前と比較して教育と貧困の関係の変容(あるいは変容のない)過程やその要因について明らかにし、都市貧困層が低教育と貧困の負のサイクルから脱出しうる可能性について、新たな視点を提供するものである。 第1回調査(2007~2008年)で対象となった50スラム、417世帯のうち、第2回調査(2012年)では46スラム297世帯、第3回調査(2018年)では44スラム212世帯を追跡することができた。第1回調査から追跡できた212世帯の実質所得、消費ともに増加していたが、デリー全体との所得水準格差は拡大しており、親世代よりも暮らし向きがよくなったと感じている世帯主は減った。10年間で労働者の実質所得も微増したが、教育が所得に与える影響は微減した。また、義務教育世代の就学率は上昇したが、公立校の質に不満な層の間で小学校から私立校への就学が増えるといった現象が観察される。 研究成果については、2021年度に南アジアの教育に関する書籍のなかで義務教育法のスラムの子供の教育への影響ついて発表し、スラム労働者については国際シンポで発表し、今後洋書(海外出版)の1章としての出版が予定されている。さらに、スラム家計に関する論文をジャーナルに投稿し、ウェブサイトのコラムを執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外渡航ができないため、予定していた定性調査ができない状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
海外渡航ができるような状況になった場合、現地で定性調査を実施する。できない場合には、成果のジャーナルへの投稿を中心に行う予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外渡航ができなかったため。2022年度海外渡航が可能となった場合、インドで現地調査を実施する。それができない場合には、研究成果の発表に重点を置く。
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