本研究では、インドにおける都市スラム世帯の教育と貧困の関係を分析した。2007/08年に調査したスラム世帯を2018年に追跡調査し、教育が消費や所得で計測される貧困に与えた影響と貧困が次世代教育に与えた影響を検証した。10年間に渡って追跡調査できた世帯では、実質所得や教育水準の上昇がみられ、教育水準の高い若年層ほど教育が所得に与える影響も上昇していた。しかしスラム世帯や労働者の所得とデリーの平均所得との格差は拡大し、スラムからの脱出は一層難しくなった。義務教育年齢の子供たちの就学率は上昇したものの、世帯の経済水準が学校選択に与える影響が強まり、受けられる教育の質の差も拡大した。
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