研究課題/領域番号 |
17K02070
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
辻上 奈美江 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (30584031)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジェンダー / 労働 / 中東 / 起業 / 消費 |
研究実績の概要 |
本研究は、湾岸諸国の女性の消費行動と、女性を対象とした商業活動の展開および女性の家計への経済的貢献について、主に現地調査から明らかにしようとするものである。湾岸諸国では近年、女性の教育レベルは目覚ましく向上し、それに伴って労働参加率も徐々に上昇している。このことは、ジェンダーの権力関係にどのような変化をもたらすのかを明らかにすることが本研究の主題であった。 令和2年度は、英語共著書1冊、日本語共著書2冊、英語論文1件のほか、主要紙への書評の寄稿などさまざまな場面で成果を公表することができた。これらを通じて、女性の教育レベルや就労が、家計への経済的貢献や世帯消費への女性の意見の反映につながっていることが明らかになってきた。そして、そのような社会・経済的変化を捉えて、女性起業家が増加・成長していることも明らかになった。他方で、女性による活発な起業行動の背景には、公的部門での就労の難しさという問題もあることがわかってきた。コロナ禍という未曾有の現象下で、男女の権力関係を背景とする再生産領域での問題も指摘されている。本研究では、これまで経済と労働、消費と起業の関係性を明らかにすることを主眼としていた。これは、従来の研究が十分に着目してこなかった再生産領域を見つめ直すことの重要性に警笛を鳴らす意味も込めていたが、今後の研究では、この再生産領域をさらに掘り下げて調べる必要性が明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響のため、現地調査が実施できておらず、このため予算の執行にも支障があったので「やや遅れている」と判断した。他方で、文献の収集・整理、および読み込みを進めることはできた。また、英語論文の執筆にも力を注ぐことができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響は継続しており、現地調査が実施できる見込みは立たないものの、文献収集・読み込みと研究成果の発信に引き続き尽力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大のため、現地調査が実施できなかった。令和3年度も引き続き状況に変化はないため、主に基礎研究を進めるための文献購入などに費用を充てる予定である。
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