研究課題
本研究は、湾岸諸国の女性の消費行動と、女性を対象とした商業活動の展開および女性の家計への経済的貢献について、主に現地調査から明らかにしようとするものである。湾岸諸国では近年、女性の教育レベルは目覚ましく向上し、それに伴って労働参加率もゆるやかながら上昇している。教育レベルの高い女性は消費に対する意思決定権を有していることを示す研究もあり、女性は消費の主体として強く認識されるようになってきている。そしてそのような女性の購買力に着目して起業する女性も増加している。このことは、ジェンダーの権力関係にどのような変化をもたらすのかを明らかにすることが本研究の主題であった。令和2年度までの研究では、女性の教育レベルや就労が、家計への経済的貢献や世帯消費への女性の意見の反映につながっていることが明らかになってきた。そして、そのような社会・経済的変化を捉えて、女性起業家が増加・成長していることも明らかになった。他方で、女性による活発な起業行動の背景には、公的部門での就労の難しさという問題もあることがわかってきた。令和3年度は、英文紀要の編集、英語論文2本に加えて、多数のアウトリーチ活動の機会に恵まれた。本研究および本科研費の後続プロジェクト「湾岸アラブ諸国における統治と消費に関するジェンダー研究」(基盤研究C)を通じて、女性の消費と起業によるエイジェンシー(行為性)に加えて、統治と生政治の観点からの研究へとシフトしていっている。長引くコロナ禍により現地調査が困難な状況が継続しているため、研究成果の発表や基礎研究の継続に注力している。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 3件) 備考 (4件)
Sophia Journal of Asian, African, and Middle Eastern Studies
巻: 39 ページ: 1-4
巻: 39 ページ: 137-150
The Arabian Peninsula: History, Culture, and Society
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https://dept.sophia.ac.jp/fgs/staff/tsujigami-namie
https://dept.sophia.ac.jp/g/gs/areastudies/staff.html
https://dept.sophia.ac.jp/is/iac/staff/staff_tsujigami.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%BB%E4%B8%8A%E5%A5%88%E7%BE%8E%E6%B1%9F