研究課題/領域番号 |
17K02072
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
倉光 ミナ子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (10361817)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 結婚移民 / サモア / ニュージーランド / ホーム / 子育て / フェミニスト地理学 / ライフストーリー |
研究実績の概要 |
平成30年度には、1)本テーマに関わる先行研究の収集、2)ニュージーランドと日本におけるさらなる予備調査の実施、そして、3)途中成果の発表を計画していた。 1)については、本研究を実施するための理論的枠組みを構築するために、昨年度に引き続き、人文地理学における国際移動と場所/ホームに関する最新の研究動向、結婚移住した女性の子育てに関する研究、サモア移民に関する研究の3領域についての先行研究について、日本とニュージーランドで文献調査を行った。このうち、人文地理学におけるMotheringに関わる研究の収集に着手した。また、ニュージーランドではサモアやポリネシアをフィールドとする現地研究者と情報交換を行ない、サモア人の子育てに関する研究のデータを入手した。2)については、5月に千葉県にて新たに1名のサモア人女性を対象に、移民や結婚の経緯に関わるライフストーリーの予備調査を実施した。また、7月と9月にわたり3回、在日サモア人の集まりに参加し、調査協力者を探し、新たに1名の協力を得られることになった。その一方で、ニュージーランドにおける調査協力者探しは難航しており、それを打開すべくオークランドで調査協力者であるサモア人研究者やポリネシア地域研究者と面談し、調査の方向性について意見交換を行った。3)については、先行研究の枠組みの一部、国際結婚とホームの関係性についてまとめ、個人の研究グループの会合で発表すると同時に、11月には奈良大学で実施された人文地理学会大会で口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度進捗がとても遅れた理由は3つある。 第1に、4月には分かっていたことであるが、平成31年3月に8日間、学部学生をつれてフィリピンにいく実習を担当したからである。そのため、5月から募集説明の業務、10月からは事前学習に加え、受け入れ先とのやり取りや学内におけるリスク管理の業務などが次から次へと派生し、予想以上に研究のためのまとまった時間を確保することができなかった。 第2に、学部卒業論文の主指導学生が多かったことである。平成30年度は9名の学生を指導したために、10月から1月まで、土日も含めかなりの時間を学生の論文を読み、指導するのに時間を必要とした。これらの理由により、平成30年度の10月以降の半年は国内の調査にでかけることができなかった。 第3に、平成31年度より、別のフィールド調査を伴う科研費(B)の分担者となったためである。昨年度は1つ目の理由により、研究期間が9月までと限られていたが、6月にはこの科研の調査・研究会のために、岩手県へ赴いた。研究時間を2つの異なるテーマの研究に使わなければならなかったが、なかなか調整ができなかった。 これらの3つに加え、ニュージーランドでの調査が難航していることも研究が遅れている理由の1つである。プライベートとして、未就学児と小学2年の親であったために、長期の休みに研究調査にでることが難しかった。今後も同じような状況は続くと予想されるので、とくにニュージーランドでの調査に工夫が必要である。また、ニュージーランドでの調査協力者が思うように集まらないので、移民女性の子育てというように少し方向を転換することを考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1)できるかぎり時間を確保し、まずは日本でのライフストーリー調査を進めていく。そして、これまでのデータを整理し、3月の日本オセアニア学会で口頭発表する。 2)英語圏のフェミニスト地理学の先行研究に絞って、motheringを取り扱った研究をレビューする。また、ホームと移民の関係についても先行研究を整理する。それらをまとめて、日本の論文誌に投稿する。 3)サモア人の子育てに関わる先行研究を整理し、ニュージーランドにおける調査を再検討する。今年度は8月~9月と2月~3月の2回、ニュージーランドへ渡航し、研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」の理由に書いた通り、平成30年度は海外実習の担当業務、卒業論研究指導、そして新たな科研の分担者となったために、フィールド調査に出る時間を日本および海外ともに見つけることができなかった。 これらの助成金は今年度の分とあわせて、引き続き今後の国内および海外の調査旅費として順次使用していく予定である。
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