研究課題/領域番号 |
17K02072
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
倉光 ミナ子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10361817)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 移民 / 結婚移民 / サモア / ホーム / 子育て / フェミニスト地理学 |
研究実績の概要 |
2021年度も2020年度に引き続き新型コロナウイルスの影響を受けて、日本国内および海外でのフィールド調査は難しくなることが予想されていた。本研究はフィールド調査あるいはインタビュー調査の実施が不可欠であるため、年度末近くには調査ができるような状況になることを期待しつつ、コロナ禍においても少しずつ研究を推進するために次のような計画を立てた:1)コロナ禍においても再検討したホームと移動に関する研究についてのこれまでの知見をまとめ、今後の展望を記したレビュー論文を執筆し、何らかの学術雑誌に投稿する; 2)これまでのインタビュー調査の結果を改めて整理しなおし、サモアのジェンダー規範と移動先での子育てに関わる論点を明確にする; 3)2)に基づき、日本国内の調査協力者に連絡をし、電話やオンラインでのインタビューを試みる; 4)ニュージーランドのintermarriagesに関わる先行研究やそれにかかわる団体を探し、ニュージーランドにおける調査の方向性を再検討する。 このうち、1)については日本地理学会のジェンダーと空間/場所研究グループの活動の一部として、10月に「ホーム」と移動をテーマとしたオンライン研究会を企画し、国際社会学者の研究成果を伺うことで知見を深めた。また、『ジェンダー研究』(お茶の水女子大学ジェンダー研究所刊)に投稿した研究ノートが掲載された。2)~4)については下記「現在までの進捗状況」に記したように、新型コロナウイルス感染症の拡大によるオンライン授業をはじめとした学務上の対応や新たに着任した2学会の編集業務などに追われ、研究に集中する時間的な余裕がなかったため、あまり進めることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理由 主に、新型コロナウイルスの感染拡大により、次の2点の理由で、本研究を進めることが非常に難しかったため。 1)研究の遅延の主因であるニュージーランドでの調査を立て直すための現地訪問ができず、現地協力者とも十分な話し合いをする余裕がなかった。予定していた日本でのインタビュー調査も調査対象者の多くが年配者であったことと、自らの家族が基礎疾患を持っており活動を自粛したために、日本におけるサモア人コミュニティの集まりにもほとんど出席ができなかったので、オンラインインタビューへの切り替えを進めることができなかった。 2)大学業務において、新型コロナウイルスの感染拡大による業務の増加および新たな役職に基づき生じた慣れない業務の増加、所属学会等の業務の増加により、今まで以上に研究に集中する時間が確保できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度はこれまでよりは日本国内および海外でのフィールド調査ができる可能性が生まれている。本研究はフィールド調査あるいはインタビュー調査の実施が不可欠であるため、まずは日本での調査から少しずつ進め、日本についての知見から「ホーム」と移民についての研究をまとめていきたい。そのために、昨年度の以下の計画を引き続き進めていく。 1)コロナ禍においても再検討したホームと移動に関する研究についてのこれまでの知見をまとめ、日本の調査で得られた結果に照らし合わせて、論考をまとめる。 2)これまでのインタビュー調査の結果を改めて整理しなおし、サモアのジェンダー規範と移動先での子育てに関わる論点を明確にする。 3)2)に基づき、日本のサモア人コミュニティの集まりに参加して、インタビューの日程を調整し、インタビューを試みる。 4)ニュージーランドのintermarriagesに関わる先行研究やそれにかかわる団体を探しつつ、ニュージーランドでの調査が可能であれば実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウィルス感染症のため、予定していた海外調査を含め、国内においてもほとんどフィールド調査ができなかったため、予定していた旅費がほぼ残ることになった。今後は新型コロナウィルス感染症が終息に向かい始めたら、調査を開始できればと考えているため、依然として旅費として使用する予定である。また初年度に購入したノート型パソコンに支障があるので、調査が難しい場合はオンライン調査のための環境を充実させる上で必要となる物品費の購入に切り替えて使用していく予定である。
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