研究課題/領域番号 |
17K02077
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
堀内 真由美 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60449832)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脱植民地化 / 英領西インド諸島 / 西インド連邦 / ポストコロニアル文学 / ジェンダー / ジーン・リース / フィリス・オーフリー |
研究実績の概要 |
1.資料収集の進捗状況:連合王国イギリスへの二度の資料調査 2017年4月に本研究への助成が開始されてから、2017年度中に二度の資料調査を実施した。2017年8月と2018年2月のロンドンへの調査である。本来なら、2月の調査は実施計画に基づき、英連邦ドミニカを訪れる予定であったが、昨秋のハリケーンによる甚大な被害のため、宿泊先および公文書館、図書館等の資料保管場所への立ち入りが困難になった。そのため、急きょ調査訪問先をロンドンに変更した。変更にはなったが、ロンドンでの新たな調査機関(Black Cultural Archives)の全面的な協力を得られ、本研究の最終目標の一つである、「イギリス本国における植民地主義の歴史認識」を考察するうえで欠かせない、1960年代以降の「人種衝突」に関する資料を入手することができた。
2.研究成果の公表:二編の雑誌掲載論文 昨年度一度目の資料調査で得た情報をもとに、二編の論文を作成し掲載された。どちらも本研究の最終目標の一つである、「クリオール女性による植民地責任」をより明確にする論考となった。一つはドミニカの政治的独立に向けて奮闘した作家・政治家フィリス・オーフリーの独立に賭ける心情を、もう一つは、フィリス・オーフリーとジーン・リースという二人の同時代のクリオール女性作家が、脱植民地過程にある故郷の島をどのように作品に描いたか、そのことからくみ取れる心情を、「郷愁と確執」というキーワードで明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目の資料調査で、予定訪問先に関しては予想していなかった自然災害による変更を余儀なくされたが、変更した先で出会えた資料が、想定以上の価値あるものだったため、これからの考察と論文への発表は、かなり順調に進むと考えている。しかし、一年目の前半での資料調査から得られた考察を論文として公表した数を考えると、必ずしも早いとはいえない。よって「おおむね順調に進展している」との自己点検になった。
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今後の研究の推進方策 |
資料調査については、二年目にあたる2018年度中に二度、英国と英連邦ドミニカを訪問する予定である。西インド植民地への支配の過去を、1950年代以降、急増する西インド人労働移民との軋轢のなかで、本国イギリス白人がどう認識したのかを知るための具体的な資料がまだまだ不足している。今後はこの範疇に入る資料を求め、その都度、考察を深めながら、報告と論文作成につなげていきたい。また、昨年度のような自然災害は、今後もあると想定し、ドミニカの復旧の進捗状況によっては、調査訪問先の変更も念頭に入れつつ、現地のアカデミック・スタッフとの情報のやり取りを継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた遠方の資料収集目的地(英連邦ドミニカ)が、ハリケーン被害を受け渡航が不可能になったため、急きょ、年二回の資料収集を、二回ともロンドンに変更したことで、費用とくに航空運賃に差額が生じた。来年度は、天災などがない限り、計画通りに資料収集を二か所で行う予定である。
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