研究課題/領域番号 |
17K02081
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
古田 弘子 熊本大学, 大学院教育学研究科, 教授 (60315273)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教育 / 女性 / 障害 / ジェンダー / スリランカ / インド / 南アジア |
研究実績の概要 |
本研究は、南アジアにおける障害のある女性の教育とジェンダーについて、インドとスリランカに焦点をあて総合的に明らかにする。3年間の実施期間中2年目にあたる平成30年度の研究実績を、以下では研究課題別に述べる。 研究課題①「インドにおける障害女性の教育とジェンダーに関する研究資源の解明」については、関係者との意見交換及び情報収集、関係資料の購読・訳出の2点を実施した。前者については、8月にムンバイのTATA研究所サンジャ・リマエ准教授、12月にカルカッタ大学サントシ・ハルダー准教授、およびオディシャー州ユトゥカル大学アーシャ・ハンズ元教授と討議および情報収集を行った。なお平成31年度に日本で開催する予定のシンポジウムに関する準備調整も行った。次に、関係資料の購読・訳出については、ハンズ元教授が編者として発行した書籍"Disability, Gender, and the Trajectories of Power(2015, Sage Publications India)"の他、政府や女性障害者権利擁護団体発行資料を購読・訳出した。これらをもとに2つの紀要論文を執筆・公開した。 研究課題②「スリランカの障害女性の教育とジェンダーの実態分析」については、今年度はインドとの比較の観点で実施した。8月に予備的調査を実施し、その結果をもとに、スリランカ・インド共通の質問項目を作成し、12月に両国で障害のある女子大学生を対象に面談調査を実施した。研究課題③の「両国の障害女性の職業教育とジェンダーに関する分析」については、研究課題①および②の中に組み入れて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
障害女性の教育とジェンダーの実態の一端の解明に向けて、教育資源のあるインドで人的ネットワークを構築するとともに資料収集を行い、スリランカでは継続調査を実施したことで、 ジェンダーの観点からの障害者教育の検証に向けた初年度としてはまずまずの進捗が得られた。 研究課題①「インドにおける障害女性の教育とジェンダーに関する研究資源の解明」については、本年度でほぼ当初の目的を達成したと考えられる。次に、研究課題②「スリランカの障害女性の教育とジェンダーの実態分析」については、スリランカですべての面談調査を終えてはいないが、インドとの比較という観点も付加することができ、内容としては当初の想定より充実したものとなっている。研究課題③の「両国の障害女性の職業教育とジェンダーに関する分析」については、この課題に焦点化した分析はできていないが、時間的制約から研究課題①と研究課題②に組み入れて行うことがのぞましいと考えている。 加えて本年度は「障害女性をめぐる差別構造への「交差性」概念を用いたアプローチ」公開研究会に参加し、数少ない同分野の研究者と交流を行うことができ有益であった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の来年度は、当初の予定通り、南アジアにおける障害のある女性の教育とジェンダーに関するシンポジウムを、インドの研究者を招へいして実施することで、研究成果の社会への還元を行いたい。また、研究のまとめとなる成果物を公開したい。特に、本研究の成果発表の発展的展開として、訳出した書籍の出版を行い、そこで得られた知見を広く公開したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度には国際シンポジウムの開催を予定しており、予算が不足することは避けなければならない。そのため、今年度の使用額を調整し、次年度にまわす必要が出てきた。
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