今年度は、日本における性的マイノリティの出産・子育ての実態について、この4年間で実施してきたフィールド調査の結果を、学術書(編著の1章として)、海外学術誌への投稿論文としてまとめた。学術書は2021年度内に出版予定、海外学術誌への投稿論文が現在査読修正中である。収集したデータの分析に基づくさらなる論文執筆を、今後も継続的に行なっていく予定である。2020年度は新型コロナによる外出規制などにより、フィールドワークは実質的に不可能であったが、zoomを通した補足的インタビュー調査などを行なった。フィールド調査としては、アメリカ合衆国の精子バンクによる日本人を対象とした生殖医療利用の説明会への参加(zoomによる)、地方自治体で開催された性的マイノリティを対象としたイベントへの参加(対面による)、調査対象団体によるメディア対応での参与観察、調査対象団体と国会議員との面談の参与観察、国会での法案審議の過程の参与観察などを行なった。インタビューとしては、海外で子育てをしているゲイ男性、長年ゲイムーブメントに関わってきたゲイ男性へのインタビューなどを行なった。2020年度に、アジア地域在住のゲイ男性で代理母による出産・子育てを検討している人々の国際会議に参加予定であったが、結局、新型コロナによる海外渡航制限のためにできなかった。今後、これらの海外での調査も継続して実施していく予定である。
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