研究課題/領域番号 |
17K02084
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
山下 英愛 文教大学, 文学部, 教授 (80536235)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 北朝鮮 / 女性 / ドラマ / 映画 / ジェンダー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)で制作・放映されたドラマの研究等を通して当該社会の人々の生活や文化を考察し、日本における北朝鮮社会のジェンダー研究の活性化を促そうとするものである。このような目的のもとに、①ドラマ等映像及び関連資料の収集、②韓国をはじめ諸外国における先行研究の収集と整理、③北朝鮮の映像に関するジェンダー分析、④韓国のドラマにおける北朝鮮表象の分析、⑤北朝鮮女性研究に関心をもつ数名の研究者との会合、などを行った。 本年度は昨年度に続いて資料の収集、研究、発表をそれぞれ一歩進めることができた。 ①のドラマ等映像の収集は、韓国の北韓資料センターで所蔵するものを数本視聴し、オンライン上に公開されている映画やドラマを若干収集することができた。また、関連文献については北朝鮮の一次資料と韓国やその他の国で出版された資料を収集した。②については韓国と日本の先行研究を広く収集し、その整理を行った。その内、韓国における北朝鮮女性研究に関する研究の一部を学会で発表することができた。また、北韓大学院大学と韓国女性政策研究院の研究者を訪ね、北朝鮮女性研究に関する情報交換を行った。③については、北朝鮮のドラマと映画(各1編)に日本語字幕を付し、研究会で北朝鮮映画に関する研究発表を行った。④は北朝鮮(脱北者)を描いた韓国ドラマについて考察し、その成果を講演などで紹介した。主に脱北者が生じた背景、韓国における脱北者の状況などについて語った。⑤日本で北朝鮮女性に関する研究を行ったことのある研究者と、延辺地域の女性たちの移動を研究している研究者と会合をもち、研究内容及び今後のことについて話し合うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はこれまで収集した映像や資料を使って、学会発表や講演、研究会報告、研究ノートの発表など、計画通り行うことができた。北朝鮮のジェンダー研究もドラマや映像に関する研究も韓国には相当の先行研究があるため、その整理に時間がかかる面もあるが、概ね順調に調査研究を進めている。この間、資料収集の傍ら、韓国や米国で開かれる学会に出かけて、関連研究者たちとのつながりができた。こうした人々との研究交流から新たな知見も得られるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度にあたる2020年度は、「研究実績の概要」に記した①から⑤についてそれぞれ作業を進めるつもりである。①は可能な範囲で継続する。②は主にこれまで収集した資料を用いて研究史を整理する。③と④は、北朝鮮ドラマと韓国ドラマにおける女性表象やジェンダー分析を進め、論文や講演等で発表する。⑤は引き続き北朝鮮ジェンダー研究に携わる研究者との交流を試み、日本における北朝鮮ジェンダー研究の基盤づくりをするつもりである。 新型コロナパンデミックの影響で国際的な学会開催が延期され、海外の研究者たちと8月末に行う予定のパネル発表は実現できるかどうか定かではない。また、前半期に予定されていた講演もこの事態の中でキャンセルとなり、このような場での発表は期待できないかもしれない。 本研究主題は今後も継続して研究を進める必要があると考えている。これまでの作業で何をどこまで進めることができたのかを明確にしつつ、今後の方向性を見据えながら研究を進めてゆくつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に予定していた海外出張がパンデミックでキャンセルされたため。 次年度は、可能であれば海外出張(学会参加及び資料収集等)を行う。また、ドラマや映画のセリフ書き起こしと翻訳作業、書籍及び映像等資料の購入、モニターやビデオカメラなど研究環境整備等に使用する予定である。
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